こんにちは。
ナチュラル薬膳生活文化普及協会理事長、薬膳ライフコーチ須崎桂子けいてぃーです♪
これまで薬剤師、看護師、料理教室の先生、エステティシャン、薬膳の専門家になりたい大人女性のみなさんに、本格的な薬膳コースをオリジナルテキストで十数年教え続けてきた実績を持っています。
「けいてぃーさんのまいにち薬膳素材♪」で牡蠣をフィーチャーしようと思ったけれど、フレッシュな牡蠣がスーパーにまだあまり並ばない秋。
そこで代わりに、日本の家庭料理ではほとんど使われない「干し牡蠣」ご紹介してみたときのオハナシです。
これらは一晩浸水して戻した干し牡蠣さんたち整列の図。
一人ひとり個性がある人間みたいですね。皆、フォルムが違うのが面白いと思ってしまいます。
芸術の秋。写真撮影技術とスタイリングを学び直したばかりなので、薬膳素材でアートな作品を作れるかやってみました。
さらに調理するために戻した干し牡蠣1個ずつを3つに切り分けたのですが、これらも並べて撮ってみました。
俯瞰で撮ればよかったかなとも思うのですが、薬膳レシピ開発中に脚立を出して昇ったり降りたりしていると、計量やら何やら混乱しそうなので今回は斜め俯瞰の撮影にとどめておきました。
牡蠣の種類で異なる旬のシーズン
ひとくちに牡蠣と言っても、種類は様々。
日本で流通しているおもな牡蠣は養殖の「マガキ」と天然の「イワガキ」です。
そして国内流通のほとんどが「マガキ」(かき(社団法人日本水産資源保護協会 )参照)。
ご紹介している干し牡蠣は韓国産。
干し牡蠣に種類の表示がないので分かりませんが、「マガキ」でも「イワガキ」でもなさそうに思うのは、きれいなオレンジ色の貝肉の色のせい。
おもに日本では家庭料理用に流通してくる「マガキ」は冬が旬です。
だから、秋口のスーパーマーケットのお魚売り場にはまだあまり並んでいません。
これに対して「イワガキ」の旬は夏。
真夏に生牡蠣のスターターを頂いて食中毒にならないかドキドキしてしまうのですが、砕いた氷の上に並んだ分厚い牡蠣殻のイワガキをレストランバーのカウンターで見るとそそられてしまいます。
子供の頃にはなかった、レモンをきゅっと絞って白ワイン片手にオイスターバーで一杯という光景は、日本でも普通になりました。
「イワガキ」は「マガキ」に比べて出荷量が少ないからでしょう。
フレッシュな「イワガキ」はこんな風にレストランの前菜で出されることが多くて、普段使いの近隣のスーパーマーケットではあまり売られていません。
自分もこの夏、『ナチュラル薬膳生活応用編』の出版記念パーティーの前に、会場に選んだフランス料理店「コワンドゥ・フルノー」さんに打ち合わせで伺った際、生の「イワガキ」を前菜で頂きました。
牡蠣が見えないほどどっさり!表面を覆っているのは、酸っぱいみじん切りのエシャロット。
「マドモアゼル風」・・・うんぬんと命名されていたこの一品は、ん~すごく酸っぱい!
ビネガーの効いたエシャロットが大量にのっかっていたのは、きっとお酢の殺菌作用を活かす知恵なのでしょう。
牡蠣に限らず海産物にもともと住みついている細菌「腸炎ビブリオ」で食中毒が起きたら大変ですものね。
ちなみに中医薬膳学ではこうした「生モノ」やお刺身やカルパッチョなど、加熱調理していないお食事は薬膳フードセラピーには向きません。
加熱によって薬膳素材の有効成分が十分に引き出されていないから、消化吸収しやすいように調理加工されていないから、食中毒の心配があるから、等など、
薬膳学にはその源流である古代中国の内陸部の食文化の考えがかなり反映されています。
中医学が生まれた数千年前の黄河流域に新鮮な海の魚介類や冷蔵設備があったわけでもないですからね。
・・・が、わたくしは新鮮な海産物が手に入る海に囲まれた現代の日本育ち。
薬膳レッスンで生の海産物を薬膳調理例として生徒さん達にご紹介することはないものの、おうちではもちろん、新鮮なカルパッチョやお寿司などを頂きます。
年中使える「干し牡蠣」を日本でも活用したいのに
子供の頃、日本で牡蠣料理というと代表的だったのはやはり「カキフライ」。
小さいときは噛むと油まみれの衣の中から牡蠣の内臓がぐちゃっと出てきて、生臭くて苦いと感じたからあまり美味しいとは思いませんでした。
しかし大人になっておしゃれなレストランに行くようになると、さきほども話題に出てきたレモンを添えた生牡蠣のスターターを食べる機会が出てきました。
鮮度の高い牡蠣の味は子供の頃に食べた加熱調理のカキフライと違って、甘くて舌の上でとろけるような美味しさ。
アミノ酸やミネラルが豊富でたっぷり滋養が摂れるから、「海のミルク」と言われている由縁が大人になってから本当によく分かりました。
薬膳の先生になって牡蠣を薬膳素材として扱うようになってからは、冒頭で話題にした香港やら台湾やら韓国やらで食べられている干し牡蠣がとても気になります。
これは干した牡蠣を一晩冷蔵庫で戻して、調理する前に撮りました。
戻し汁には濃縮された天然のアミノ酸系旨味成分グルタミン酸などが出ているので、無駄にしないでご飯やスープを作るのに使います。
干し牡蠣を購入したら、冷凍しておけば1年はカビが生えずに使える保存食。
毎年、薬膳素材や中薬を買いに行く香港の海鮮乾物屋街を歩いていると、(2017年香港研修ツターの画像には写っていませんが・・・)こうした干し牡蠣のような乾物が山積みになって店頭で売られています。
日本のスーパーマーケットではまずお目にかかることのない(!?)「日本産の干し牡蠣」が高級食材として香港で売られているのを見たのは30数年前のことでした。
どうして日本では一般的でない日本の干し牡蠣が、香港にはずらっと並んで売られているんだろう。。。
何十年もの疑問を改めて考えてみました。
そしてインターネットで調べてみたら、牡蠣の養殖業者さんが東南アジアへの輸出を模索している情報などがかなり出てきます。
やはり日本では旬になれば美味しい新鮮な牡蠣が出回るから、消費者が乾物の牡蠣には目もくれないのでしょう。
だから保存が利いて美味しいのに、日本国内では干した牡蠣をわざわざ売ろうとはしないのかもしれません。
国産の良質な干し牡蠣が身近なスーパーで干した海苔やひじきみたいに年がら年中日本でも出回っていたら、もっと薬膳の専門家の皆さんが使えるのになと思います。
牡蠣は若々しさのモト(精)を貯えている腎(じん)に必要な様々なミネラルを補給してくれる優れものの薬膳素材だから。
精は血(けつ)の材料になりますから、血を貯えている肝(かん)も滋養して、老化防止と貧血予防に役立ちます。
薬膳の先生であるわたくしは、老年期を前にこんな風に腎に若々しさのモトをチャージするアンチエイジングの家庭薬膳をせっせと食べて、緩やかなエイジングを目指し未来も健やかにお仕事を続けられるように今から備えています。
人生100年時代どんな人でも年齢を重ねるにつれて、身体の中に貯えていた精や血が枯渇してきます。
若々しく元気に人生を200%謳歌するためには、生命の質を上げる良質な精や血を身体にチャージするのは不可欠です。
というわけで牡蠣については、日本でもアンチエイジングの薬膳作りに干し牡蠣が手軽に手に入ればいいのにと思いつつ「けいてぃーさんのまいにち薬膳素材♪で牡蠣の動画」を撮りました。
けいてぃーさんのまいにち薬膳素材
牡蠣 補陰類 平 甘鹹
肝腎 補陰補血 養心安神 清熱解毒
『ナチュラル薬膳生活入門編』 121ページ参照
『ナチュラル薬膳生活応用編』139ページ参照
須崎桂子
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