こんにちは。
ナチュラル薬膳生活文化普及協会理事長、薬膳ライフコーチ須崎桂子けいてぃーです♪
これまで薬剤師、看護師、料理教室の先生、エステティシャン、薬膳の専門家になりたい大人女性のみなさんに、本格的な薬膳コースをオリジナルテキストで十数年教え続けてきた実績を持っています。
今日の柏方面は雪になるかと心配しましたがみぞれ交じりの雨の中、生徒さん達が薬膳レッスンに元気にお越しになってほっとしました。
そして終日、冬の寒さに負けないで、気を巡らす薬膳フードセラピーの調理実習と、本格的な中国伝統医学(中医学)理論の座学を集中レクチャー。
午前中の調理例の主食は、こんな寒い日にぴったりの熱々の薬膳粥をご紹介する予定だったのでよかったと思いました。
しかしその他の薬膳調理のおかずやスイーツには、気を巡らす薬膳素材として揃えた薬膳素材が身体を冷やす大根や蕎麦を準備していたので、生徒さん達が凍えてしまったどうしよう・・・とちょっと心配に。
そこで一足早いバレンタインギフトにしようと思い立ち、今日の調理レッスンでは身体を温めながら気の巡りも良くする金柑を使う薬膳レシピを、薬膳の調理例にプラスしたお話しです。
金柑の薬膳コンポートで生徒さん達へ一足早いバレンタイン
金柑(きんかん)は爽やかな柑橘の香りで身体の中の気(生体エネルギー)の巡りを促して消化を助けたり、芳香で心を癒したりする働きのある理気類の薬膳素材です。
しかも、金柑の明るい果皮の色はオレンジというより黄色っぽいですよね。
中国古代哲学には森羅万象を五種類の行(ぎょう)というカテゴリーに分けて考える「五行」という学説があります。
色彩も五色として五行のカテゴリーに分けられていて、金柑のような黄色は五行の中で土行(どぎょう)に属します。
五つの行をそれぞれの五つのパッケージでラベルが貼ってあるとイメージすれば、五行のラベルのシンボルカラーは「黄色」のような感覚です。
身体の中に収まっている臓腑もこんな風に五行にカテゴライズされていて、土行には消化器系統の脾(ひ)と胃(い)という臓器と同じ土行(どぎょう)に属しています。
ですから、黄色は消化に関りが深いというワケなのですが、実はカラーセラピーの見地から黄色は食欲をそそる色彩。
だから、「金柑は消化を促す薬膳作りの彩りの演出にも役立つのですよ。」と、生徒さん達にもお話しをしました。
すると、生徒さんのひとりのお顔がぱっと明るくなって、おうちの庭に金柑が実っているとのこと。
おうちの金柑はわたくしがご用意したこちらより小粒だそうで、そのままもぐもぐ召し上がるのだそうです。
おうちに心を癒す薬膳素材が育っているなんて素晴らしいことですね!
実はわたくし、金柑を生でそのまま食べたことがありません。生で金柑を食べられるのを今日初めて知りました(笑)
もちろんご用意した金柑を生で食べても良かったのですが、生徒さん達へ愛情を込めてお贈りしたかったのは、金柑を使って身体を温めて心を癒す薬膳フードセラピーのおいしいおもてなしとアイデア。
ぱっと思いついた薬膳処方は、金柑と同じく温性で心を癒す働きのある棗(なつめ)とマリアージュして、さっと作れる薬膳フルーツコンポート。
たくさん作って残りは午後の中医学理論レッスンのときに、冷え症をケアしたり心を癒したりする「金柑と棗の薬膳茶」としてお出ししてもいいかなと思っていました。
そして誕生したのが、暖色でビジュアル的にも心温まる彩りで、身体も温める薬膳フードセラピー「金柑となつめのハニーコンポート」が誕生!
調理レッスンのご試食休憩タイムは、身体を冷やす大根の作用を和らげる温性の金柑が生徒さん達の心も身体も温めていたようで、愉しいおしゃべりのひと時を過ごしました♪
理気類の金柑(きんかん)については以下「魂のごちそう薬膳素材♪金柑」動画レッスンも併せてご参照ください。
※動画を見られない環境にいらしたり、お話しで出てくる中国伝統医学(中医学)や薬膳学の専門用語の漢字や読み方を確認したいときは、文章で続きをお読み頂けます。
デトックス系 理気類 「金柑」 温めながら気を巡らせ抗酸化も
金柑はデトックス系の理気類(りきるい)に分類されている薬膳素材で、身体の中の気(生体エネルギー)を巡らす果実です。
「ナチュラル薬膳生活における薬膳素材の分類体系」は、「体温調節系」「営養補給系」「デトックス系」「機能調節系」の4つに分かれています(『ナチュラル薬膳生活入門編』p.21)。
金柑は薬膳素材の大きな体系のくくりの中で「デトックス系」に属します。
このようにナチュラル薬膳生活文化普及協会は、薬膳フードセラピーの暮らしを始める皆さんが薬膳素材を理解しやすいように独自の分類体系を設けて、ナチュラル薬膳生活専門家養成コースの公式テキストの「薬膳素材辞典」に収載しています。
理気類というのは、身体の中で滞った気の巡りを改善する薬膳素材の分類です。
「理気(りき)」というのは、もともと中国伝統医学(中医学)で使う用語です。
気(生体エネルギー)は精神や身体の機能を正常に保つのに必要な”物質”で、目に見えないけれど常に体内をすごいスピードで巡って、私たちの生命活動を支えています。
ですから、体内の気の循環が何らかの原因でどこかに滞ってしまうとストレスを感じたり、お腹が張ったりいやな症状が出始めます。
理気類はそんな症状を芳香成分で気の循環を促進して改善してくれるのです。
ですから、香りのよい柑橘系の薬膳素材は気の巡りを良くして気持ちを引き立ててイライラを解消したりするのに役立つので、精神症状の出やすい更年期世代での大人女性の健美活にもおススメなのです。
それから薬膳素材には、体温に対して働きかけるか否か、どんなお味の性質があるか、五臓六腑のどこに主に働きかけるか、薬膳作りの参考となるよう特徴がひとつひとつ臨床経験の文献で伝えられてきました。
現代は先人の知恵に基づくデータが科学や栄養学で研究されている事例は少なくありません。
金柑 中医薬膳学な特徴と働き
◎体温に対する作用は、身体を温める「温」の性質です。
◎味性は、収斂作用できゅっと心や身体を引き締める酸味と、身体を滋養する甘味と、体内の循環を良くする辛味です。
◎中医内科学的な臓腑の解釈で、感情をコントロールしている肝と、消化器系統の脾と、ぷるぷる潤ってよく働く呼吸器系統の肺に働きかけます。
◎すでにお話ししたように、身体の中の気の巡りを良くして精神症状を改善する「理気解鬱(りきげうつ)」という作用があります。
◎肺などに溜まった水毒の老廃物(痰など)を取り除く「化痰(かたん)」という作用があります。
◎アルコールの分解を促す「解酒毒(げしゅどく)」という作用があります。
金柑 現代栄養学的・メディカルハーブ的な働き
◎芳香成分のテルペンの柑橘の香りが自律神経系を調節して間接的に心に働きかけるので、ストレスなどの精神症状を軽減するのに役立ちます。
これが「理気解鬱(りきげうつ)」という作用に関与するのだと思われます。
ナチュラル薬膳生活の究極の目的は、「陰陽ホメオスタシスのネットワークシステム」をムリなく整えて自ずと健康寿命100%に近づいていく暮らし方です。
ですから、こうした食べるアロマセラピー効果(精油を飲むことではありません。『ナチュラル薬膳生活入門編』 p.57-61参照)が期待できる薬膳素材も積極的に活用して普段から心を癒し穏やかに過ごせるようなライフスタイルを生徒さん達に提案しています。
◎身体の中の細胞内液に存在して水分バランスの調整に関わっているカリウムを180mg(生・可食部・100g当たり)含んでいます。
ですから、体内に溜まった水毒を外に出すので、「化痰(かたん)」に役立ちます。
◎ビタミンCやクエン酸を含むので、身体の中に入ってきた糖質を速やかにエネルギーに代謝する働きをサポートします。
ですから、消化吸収を担う中医内科学的な臓器「脾(ひ))」の働きを促進するのに役立ちます。
またビタミンCはコラーゲンの生成を促して細胞の修復に働くので、皮膚や粘膜や血管壁を丈夫にするして、肌を美しくして美人になるのに嬉しい効果が期待できます。
◎水溶性食物繊維のペクチンを含んでいるので呼吸器をぷるぷるに潤して、大腸の蠕動運動によるデトックスの働きを助けます。
◎目にも鮮やかな黄色い植物色素成分は抗酸化に働きます。活性酸素を除去して、細胞が必要以上に早く老化するのを防ぐので、アンチエイジングにも働きます。
◎金柑の皮に含まれるヘスペリジンはポリフェノールの一種で、毛細血管の細胞壁の水分の透過性を調節して毛細血管を強化したり動脈硬化を防いだりします。
金柑については、薬膳講師が自ら執筆した公式テキストでもご参照頂けます。
人生を200%味わい尽くしたい大人女性の健美活に!「ナチュラル薬膳生活®(薬膳ライフ)」をどうぞお役立てください。
デトックス系 理気類 金柑 *体温への作用・味の性質・臓腑への働きかけ・作用* 温 酸甘辛 肝脾肺 理気解鬱 化痰 解酒毒 *栄養素・生理機能成分* ビタミンC カリウム β―カロテン カルシウム クリプトキサンチン ヘスペリジン ペクチン テルペン |
参考文献
『ナチュラル薬膳生活入門編』 p.165
【前期】コーディネーター養成コース 公式テキスト
『ナチュラル薬膳生活応用編』 p.149
【後期】アドバイザー養成コース 公式テキスト
須崎桂子
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