こんにちは。

ナチュラル薬膳生活文化普及協会理事長、薬膳ライフコーチ須崎桂子けいてぃーです♪

 

これまで薬剤師、看護師、料理教室の先生、エステティシャン、薬膳の専門家になりたい大人女性のみなさんに、本格的な薬膳コースをオリジナルテキストで十数年教え続けてきた実績を持っています。

 

ハーブ薬膳茶と須崎桂子

 

今日は酸味の感じ方の違いを臨床研究(病気なわけではありませんが^^)した本格薬膳レッスンでの春の季節薬膳調理実習のひとこま、そして付録に、春の体調管理に活かしたい薬膳素材「酢」のお話しです。

 

「ナチュラル薬膳生活コーディネーター養成コース」集中クラス第2セッション(調理レッスン2・理論レッスン2)のうち、今日は調理レッスン2のひとこまをどうぞお楽しみください。

 

ナチュラル薬膳生活カレッジのお雛様
♣ナチュラル薬膳生活カレッジのマントルピースに毎年飾るお雛様

 

節分、立春が過ぎ、幼い頃、祖母に買ってもらった昭和レトロな小さなおひなさまをマントルピースに飾り、生徒さん達を柏本校サロンの本格薬膳レッスンにお迎えするシーズンが再びやって来ました。

 

わたくしにとって毎年おひなさまを丁寧に箱から出して大好きな薬膳の仕事場にしつらえるのは、100歳で亡くなった祖母、現在は介護施設でお世話になっている母、再び巡り来た春の訪れに感謝しながら、女性三代に引き継がれてきた美しい日本の伝統文化を味わう幸せなひと時です。

 

春の季節薬膳で意図せず酸味の感じ方違い発見!

 

ちょうど今月の【前期】ナチュラル薬膳生活コーディネーター養成コースの調理実習のテーマは、酸味について語ることの多い「春の季節薬膳フードセラピー」です。

 

その理由は後でお話ししますね。

 

午前中の調理実習を生徒さんと一緒に愉しみながら、今日はずいぶん「酸っぱい!」の感じ方が違うわねえ・・・とお互いに感心したレッスンでした。

 

立春を過ぎて間もない今月は、春の季節薬膳を学ぶのはタイミングとしてとてもタイムリーです。

 

なぜなら、季節変化が心と身体に及ぼす影響を肌で感じつつ、実践的に季節薬膳を実習すると生徒さんが頭で理解する以上に学びを体感して、薬膳の先人の知恵をすぐ実生活に活かせるようになるからです。

 

明日は春の日差しが暖かい穏やかなお天気の予報だしちょうどよかった!と思いながら、前日はサロン教室でおひなさまを愛でつつ、本格薬膳レッスンの準備をしていました。

 

一年の計は元旦にあり!」で心機一転を誓い今年を踏み出したばかりではありますが、日本では春から新学期を迎えるのが社会の恒例ですね。

 

ナチュラル薬膳生活カレッジ柏本校サロンのそばの明原公園の桜の花
♣毎春美しい桜の花でいっぱいになる柏駅近くの明原公園

 

ですから2月下旬は、世間で新生活スタートといわれる4月1日まで、残りあと1ヶ月ちょっと、だと意識して薬膳ライフをプランニングするのがお勧め。

 

そうすれば最初の四半期を振り返って計画を練り直し、4月から次の3つの四半期、より高みを目指して再スタートを切れるからです。

 

2020年1月26日のブログ「新年・新月・新学期!生活習慣病の予防にも本格薬膳レッスン」で綴ったように、わたくしも生徒さんも「今年は新たな人生を切り開く転機の年!」と波長ピッタリで素晴らしい年の初めのスタートを切りました。

 

それはいいことなのですが、その一方、こうした上昇気分のときに気をつけたいのが、お互いに「張り切り過ぎ」。

 

実は春のこの季節は「気(生体エネルギー)」が頭の方へ向かって上昇しすぎるので、体調を崩しやすいから気をつけましょう・・・と、薬膳の先達たちが後世のわたくし達に何千年も前から古い医書で警鐘を鳴らしているのです。

 

中国伝統医学(中医学)に基づく薬膳フードセラピーは、こうした先人の教えに照らして、季節の変わり目の気候変動に合わせて、人間の心や身体が連動して受けやすい影響を考えて日々の食事で健康を管理します。

 

だから、日頃から「薬膳ライフの原理原則」でライフスタイルやライフサイクルを短期・中期・長期でプランニングするようになると、季節の変調が起こる前に予防的な食事を摂るようになるので、具合が悪くなってから「しまった!」ということがかなり少なくなります。

 

わたくしは生徒さんがレッスンの翌日から憧れの庭付きの戸建てのおうちに引っ越して、新生活をスタートするご予定なのを伺っていました。

 

しばらく使われていない固い庭土を耕して土づくりをして、少しずつお庭に植物たちを植えて自然とともに薬膳を愉しみながら、心豊かに暮らす近未来の計画を嬉しそうにお話しくださいました。

 

そしてそんな嬉しいお話を伺いながら、仕込んでおいた薬膳ビネガーをベリーソース作りに足しながら、ちょっとお味見して頂きました。

 

春の季節薬膳にサワーベリーソースを作っているところ
♣春の季節薬膳にサワーベリーソースを作っているところ

 

たいそう酸っぱいだろうと思いましたし、のどの粘膜をお酢の酸で傷めてしまったらいけないので、お味見の後にすぐ春の季節薬膳茶を差し出しました。

 

すると生徒さんは美味しそうにベリーソースを味わい、にこにこしながら薬膳茶をごくごく飲み干したのです。

 

「あら、酸味がちょっと足りないかな・・・?」と思ったのですが、お酢の分量は間違えていないし大丈夫だろうとそのままレッスンを続け、いよいよ楽しいご試食タイムになりました。

 

山茱萸のサワーベリーヨーグルト
♣酸味を活かした春の季節薬膳スイーツ「山茱萸のサワーベリーヨーグルト」

 

そして、試食の最後の薬膳スイーツにかけたビネガーのベリーソースを口にしたとたん、思わず「わ~、酸っぱ~い!(>_<)」と叫んでしまったのはわたくしでした。

 

美味しいことは美味しいのですが、顏がくちゃっとなるほど自分には、その酸味がとても酸っぱく感じたのです。

 

一方、生徒さんはちょうどいい酸味で美味しい~♪とおっしゃいます。

 

いや~。ふたりで同じ酸味を口にしてこんなに感じ方が違うのね。と臨床研修のようにお互いに感心し合ったのでした。

 

先程は、薬膳の先人達つまり、中医学や薬膳学の基になる「陰陽学説」や「五行学説」を生み出した「中国古代哲学」の自然観では、「春の陽気は人間の身体の気を上の方へ気が昇らせやすい」という見識があるとお話したばかりですね。

 

実は中医学の学問分野における薬膳つまり中医薬膳学では、そんな気が昇り過ぎた症状をおさえる手法のひとつが「酸味」なのです。

 

中国の古い医典では、「収斂(しゅうれん)」の作用を持つ酸味の薬草などを使ってきゅっと引き締める、気を降ろすという方法が何千年もかけて伝えられてきた先人の経験則で示されてきました。

 

薬膳フードセラピーで春に酸味を活かしてのぼせやめまいなどの予防治療の食事を作る理由には、この考え方が根底にあるのです。

 

こうした中国伝統医学や薬膳の知恵の歴史的背景を生徒さんにご説明して、同じ酸味のお料理を食べてなぜ感じ方がこんなに違うのか一緒に考察してみました。

 

現状を考えてみれば、生徒さんはちょうど次の日からのお引越しの準備で気ぜわしいところです。

 

もともと春は気が昇りやすいという自然界のコンディションに加えて、自分自身も新生活を始めるためにいつもより、あれこれしなくてはならないことを考えて落ち着かない気分だったのかもしれません。

 

自然環境と自分の生活の変化の相乗効果で、もしかすると気が上がりすぎになる一歩手前でテンションを少し降ろすのに、酸味の薬膳フードセラピーが身体の中の気をちょうどいいくらいに調節してくれたのかもしれないと考えました。

 

生徒さんは「じゃあ、今の身体酸っぱいものが合っているということなのですか?」と、妙に酸味を美味しく感じたご自身に納得しているご様子でした。

 

一方「酸っぱがった」わたくしは、まだそれほど春の陽気の影響を心や身体に受けていなかったのかもしれません。

 

または、今のわたくしのコンディションでは、酸味を摂ると気を降ろしすぎるから身体がイヤイヤしたということも考えられます。

 

しかし、わたくしは酸っぱいと言いながら美味しい~と、結構ベリーソースをヨーグルトにおかわり増量しながら、春の季節薬膳デザートを楽しみました♪

 

ですから、わたくしの場合は「気が昇りすぎるのを予め酸味を取って予防しましょう。」と、身体が語りかけていたのかもしれません。

 

「ナチュラル薬膳生活®(薬膳ライフ)」は自分自身をこんな風に、心や身体の声に対して繊細にしてくれるライフスタイル医学の暮らし方です。

 

今回は酸味に対する感じ方がわたくしと生徒さんでかなり違ったので、「食べ物に対する心身の声を聞く醍醐味」が生徒さんにストレートに伝わったのが幸いでした。

 

付録 デトックス系 活血化瘀類 「酢」 収斂や血行促進に

 

なお付録ですが、春の季節薬膳作りにご紹介した収渋類の酢(す)については以下「魂のごちそう薬膳素材♪酢」動画レッスンがありますので併せてご参照ください。

 

 

 ※動画を見られない環境にいらしたり、お話しで出てくる中国伝統医学(中医学)や薬膳学の専門用語の漢字や読み方を確認したいときは、文章で続きをお読み頂けます。

酢はデトックス系の活血化瘀類(かっけつかおるい)に分類されている薬膳素材で、身体の中に形成された病的産物である血の塊を、血行を促進して取り除く発酵食品です。

 

病的産物として身体の中に形成された血の塊のことを、中医学では「瘀血」といいます。

 

「ナチュラル薬膳生活における薬膳素材の分類体系」は、「体温調節系」「営養補給系」「デトックス系」「機能補助系」の4つに分かれています(『ナチュラル薬膳生活入門編』p.21)。

 

酢は薬膳素材の大きな体系のくくりの中で「デトックス系」に属します。

 

このようにナチュラル薬膳生活文化普及協会は、薬膳フードセラピーの暮らしを始める皆さんが薬膳素材を理解しやすいように独自の分類体系を設けて、ナチュラル薬膳生活専門家養成コースの公式テキストの「薬膳素材辞典」に収載しています。

 

活血化瘀類というのは、血脈の中に出来てしまった血の塊を血流と高めて押し流し、取り除く老薬膳素材の分類です。

 

「活血化瘀(かっけつかお)」というのは、もともと中医学で使う用語です。

 

食べたものが身体の中に溜まって老廃物に変化してしまった病的産物を「消す」という意味なのです。なかなか上手い表現ですよね。

大根に限らず先程も話に出て来た同じ消食類の蕪も、こうした食べ物が消化器系統に滞って胃もたれ、胸やけ、便秘といった、毒素が溜まった症状を代謝を高めることで改善します。

 

ですから、消食類の大根は飲み過ぎ食べ過ぎになりがちなシーズンや、ストレスで食べ過ぎてしまい脂質異常症が心配な生活習慣病予備軍の方の食事療法やダイエットにぴったりというわけです。

 

それから薬膳素材には、体温に対して働きかけるか否か、どんなお味の性質があるか、五臓六腑のどこに主に働きかけるか、薬膳作りの参考となるよう特徴がひとつひとつ臨床経験の文献で伝えられてきました。

 

現代は先人の知恵に基づくデータが科学や栄養学で研究されている事例は少なくありません。

 

酢 中医薬膳学な特徴と働き

 

◎体温に対する作用は、身体を温める「」の性質です。

 

◎味性は、身体を滋養する酸味と、解毒する苦味です。

 

◎中医内科学的な臓腑の解釈で、解毒や代謝に関わると消化器系のの働きを助けます。

 

◎血(けつ)の巡りをよくして瘀血を取り除く「活血化瘀(かっけつかお)」という作用があります。

 

◎消化を助けて身体に溜まった宿食を取り除く「消食化積(しょうしょくかせき)」という作用があります。

 

◎身体に溜まった水毒の塊をやわらかくほぐして取り除く「軟堅消腫(なんけんしょうしゅ)」という働きがあります。

 

◎殺菌や虫下しをする「解毒殺虫(げどくさっちゅう)」という働きがあります。

 

酢 現代栄養学的な働き

 

アミノ酸植物酸の相乗効果で血行を促進したり血圧を安定させたりします。

 

こうした植物化学成分の複合的な働きが、「活血化瘀(かっけつかお)」の効果をもたらしていると考えられます。

 

◎有機酸の酸味が消化や解毒に関わる肝臓の働きを高め胃の働きを助けます。

 

こららの働きが「消食化積(しょうしょくかせき)」に貢献しているものと思われます。

 

◎クエン酸が体内に溜まった疲労物質の乳酸を分解して、老廃物を身体の外に排出するのを助けます。

 

こうした有機酸の働きが「軟堅消腫(なんけんしょうしゅ)」に作用しているものと考えられます。

 

◎酢酸には殺菌力があるので「解毒殺虫(げどくさっちゅう)」や食中毒の予防効果があります。

 

◎クエン酸は糖質やたんぱく質を気(生体エネルギー)変換を促進するので、疲労回復に役立ちます。

 

酢については、薬膳講師が自ら執筆した公式テキストでもご参照頂けます。

 

人生を200%味わい尽くしたい大人女性の健美活に!「ナチュラル薬膳生活®(薬膳ライフ)」をどうぞお役立てください。

 

デトックス系 活血化瘀類 米酢

*体温への作用・味の性質・臓腑への働きかけ・作用*

温 酸苦 肝胃

活血化瘀 消食化積 軟堅消腫 解毒殺虫

禁忌・注意:胃炎 十二指腸潰瘍

*栄養素・生理機能成分*

炭水化物 カリウム カルシウム ビタミンB1  ビタミンB2

アミノ酸 有機酸 クエン酸

参考文献

『ナチュラル薬膳生活入門編』p.167
【前期】コーディネーター養成コース 公式テキスト

『ナチュラル薬膳生活応用編』 p.151
【後期】アドバイザー養成コース 公式テキスト

 

まとめ 人によって酸味の感じ方が違う場合がある理由と薬膳素材の酢

 

同じように酸味を活かした春の季節薬膳フードセラピーを供しても、食べる人によって酸味を感じる程度に差があることが本格薬膳の調理レッスンで分かりました。

 

その理由について中医薬膳学的に考察して、酸味には収斂作用があることから、食べる人の気が昇り気味の場合は、酸味を欲するコンディションなのかもしれないと仮説を立てました。

 

仮説によれば、食べる人が酸味を欲するコンディションであれば、酸味をちょうどよいと感じると考えられます。一方、同じ酸味なのにそれを強く感じる人は、酸味をそれ程必要としていないか、身体が酸味で気を降ろし過ぎるのを嫌がっている可能性が考えられます。

 

今回の事例は病気ではありませんし、被験者が生徒さんとわたくしだけでしたが、味に対する人の感じ方に心理作用が大きく関わっている可能性を示す臨床研究チックな発見でとても興味深いと思いました。

 

なお、春の季節薬膳に活かす酸味の薬膳素材のひとつとして中薬に浸けた薬膳ビネガーをご紹介しましたので、薬膳素材の酢についても付録として解説させて頂きました。

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病気の家族や自分に食事療法を出来ず悩んでいたとき、薬膳と出会い、中医学の食事療法を知り学ぶ。しかし健康には食事だけでなく、適度な運動や休養も必要なのに気づく。抽象的な伝統医学に現代の生理学や栄養学を掛け合わせ、ライフスタイル医学の暮らし方「ナチュラル薬膳生活Ⓡ」を考案。2008年にナチュラル薬膳生活文化普及協会を設立して、心・体・魂を整える薬膳フードセラピーの暮らし方を社会に広め続けている。