こんにちは。

ナチュラル薬膳生活文化普及協会理事長、薬膳ライフコーチ須崎桂子けいてぃーです♪

 

これまで薬剤師、看護師、料理教室の先生、エステティシャン、薬膳の専門家になりたい大人女性のみなさんに、本格的な薬膳コースをオリジナルテキストで十数年教え続けてきた実績を持っています。

 

ハーブ薬膳茶と須崎桂子

 

長く薬膳教室を営んでいると、マクロビオティック(いわゆるマクロビ)と薬膳フードセラピーの違いをよく聞かれます。

 

2008年にサラリーマンから足を洗って開業したばかりの新米の薬膳の先生だったとき、一番最初に開いた薬膳レッスンの体験にお越しになった生徒さんから頂いたご質問は・・・

 

「薬膳はマクロビと違うのですか?」

 

そのときは予想もしていなかった質問だったので面食らいました。そもそも薬膳の先生になぜ生徒さんがマクロビのことを聞くのか見当がつかなかったのです。

 

その後文献を読んだりマクロビの専門家からお話を伺い、わたくしは「薬膳は食べる人に合わせる食事療法(フードセラピー)」です。「マクロビはマクロビのルールに食べる人を合わせる食事法」みたいです。・・・とお答えしています。

 

マクロビは中国伝統医学の理論を一部とりいれて日本人が作った食のポリシーですから、その手法が身体に合って健やかに暮らしている幸せな人たちにとってはよいのです。

 

先日もマクロビを学んだことのある生徒さんが薬膳レシピ提出課題に梅酢を使った際、「梅(うめ)」の中医営養学的な作用について、マクロビの知見に基づいてご質問をくださいました。

 

 

こちらは、春の季節薬膳フードセラピーとして、生徒さんが考案した「しらすと紫蘇の梅酢おにぎり」です。春に消耗しがちな滋養を補給するアーモンドも入れたとのこと。いろいろな触感が楽しめておいしそうですね♪

 

そこで、マクロビの食事療法を完璧にこなせなくて困っている人もいらっしゃるようなので、生徒さんからご了解を頂き、けいてぃーさんの薬膳お役立ち情報Q&Aで分かち合わせて頂きます。

 

マクロビに関連して頂いたご質問はこんな感じでした。

 

「梅酢はマクロビオティックでは「陽性」で身体を温める食材ととらえられていますが、薬膳ではどのようになるのでしょうか?」

 

中医学的に見た梅酢の働きは何ですか?

梅酢は梅のエキスを抽出した薬膳調味料になるので、『ナチュラル薬膳生活入門編』 の薬膳素材の分類の収渋類の梅(202ページ)、そして、食べるアロマセラピー効果(57~60ページには収載もれですが)が期待されますから、梅の香りで気の巡りをよくする働きがあると考えて頂いて結構です。

梅の四気五味については「平性」なのでそのままで温める力は期待できませんが、温かいおむすびにして冷める前に「はふはふ(#^^#)」頂けば、もちろん身体が温まることでしょう。

マクロビで梅が身体を温める食材として分類されている梅酢に含まれている塩の構成成分であるナトリウムが「温」に分類されているとご訂正を頂きました。)ことは知りませんでした。中医営養学(薬膳の栄養学。「営養」の文字は中国語由来だから。)とは(梅酢に入っている塩)についての薬膳素材の解釈がマクロビとは逆なんですね!

でも「ナチュラル薬膳生活」では薬膳素材そのものの性質だけでなく、温めるか冷ますかについては調理法も考慮して薬膳レシピを考案するよう生徒さんたちには指導させて頂いています。

なお酸味の薬膳素材には収斂したり刺激する作用があるので、適度に摂れば肝や胃の働きを高めて食べ物の消化吸収を助けます。ナチュラル薬膳生活ではこうした現代生理学の考え方も取り入れています。

一方ふさぎ込んでいて覇気(ハキ)がないときに、酸味で収斂しすぎると感情をコントロールしている肝気を発散しにくくなります。これは中医学の臓腑学説の考え方から来ています。

ですので梅の良い香りで気分が引きあがる程度にバランスよく使うとよいでしょう。

梅の収斂作用が血脈までぎゅっと引き締めてしまうのかどうか、手元に臨床データがないので分からないのですが、酸味を摂り過ぎて身体の中の臓腑や器官を締め付けすぎると気血の流れにに影響するかもしれません。

なお梅酢や梅干しについては塩分が多いので摂り過ぎれば、中医薬膳学的に見て身体を冷やす可能性が大ですし、血脈の流れを滞らせるので注意が必要です。

中薬学では塩は清熱類で寒性。昔は塩を使って身体の中の熱毒を取り除いていたらしく、「解毒湧吐(げどくゆうと)という作用があります(『ナチュラル薬膳生活入門編』 91ページ参照)。)

高血圧のような生活習慣病で塩分のコントロールを伴う食事療法をなさっている場合は、梅酢に入っている塩の量も考えて薬膳レシピを組み立てたほうがいいですね。
♣梅酢は梅の有効成分を塩で引き出した抽出液で20%も塩分を含んでいます。米酢のような塩分ゼロの醸造酢ではありません。

 

中医営養学の見地から梅と塩については、「けいてぃーさんのまいにち薬膳素材♪」でご説明しているので、よかったら参考にしてみてください。

 

けいてぃーさんのまいにち薬膳素材

梅 収渋類 平 甘渋 

肝脾肺大腸 生津止咳 化痰収斂

『ナチュラル薬膳生活入門編』 1ページ参照

『ナチュラル薬膳生活応用編』154ページ参照

けいてぃーさんのまいにち薬膳素材

塩 清熱類 寒 鹹 

腎小腸胃大腸 清熱涼血 解毒湧吐

『ナチュラル薬膳生活入門編』 91ページ参照

『ナチュラル薬膳生活応用編』132ページ参照

 

薬膳を理解しにくい生徒さんの悩みを心理学でサポート

 

せっかく食事療法の一環として中国伝統医学を踏襲している薬膳学を習得しようとしているのに、以前勉強したマクロビの知識がむにゅっと出てきて、すうっと薬膳の先人の知恵が入って来ない。

 

栄養士の資格を持っていて以前うんと努力して社会人学生として大学で現代栄養学を学んだから、お食事で心を癒すみたいな抽象的な概念が科学的な説明じゃないからどうもストンと落ちてこない。。。

 

ナチュラル薬膳生活を学びにお越しになって、こんな悩みを訴える食の専門家の生徒さんたちは結構いらっしゃいます。

 

でも大丈夫。薬膳ライフコーチはどうしてそんな悩みが起こるのか、学習心理学の知見から知っているから大丈夫。

 

ネガティブな学習転移」が起こっている生徒さん達は薬膳にとても興味があるのに、ぐるぐる考えすぎてしまっているケースが多いです。

 

「学習転移」は心理学実験で実証されている現象です。

 

それは、昔学んだ似かよった知識が、新しい学びに対して及ぼす影響のこと。

 

ポジティブ(正)」と「ネガティブ(負)」な学習転移があります。

 

正の学習転移なら、学んだことがあるマクロビや現代栄養学の理論的思考力が、体系的な中医薬膳学理論の学びを促進するので早く習得できます。

 

でもやる気のある熱意のある生徒さんがものすごく勉強しているのに、負の学習転移になってしまうケースによく遭遇します。

 

「薬膳素材の働きを逆に覚えたから頭に入って来ない~。」、「解毒の臓器の肝臓が感情をコントロールするなんて想像がつかない~。」など、とても苦しそう。

 

異なる食の健康に関する学問を以前もすごく頑張ってお勉強したから、過去の記憶が強化されているために新たな学びを邪魔してしまうのでしょう。

 

♣認定資格試験に備え自分のスタイルで薬膳の試験勉強をしている生徒さんのノート。

 

だからそんなときは根気よく何度でも繰り返し、抽象的なマクロビのご質問にも、科学的な栄養学のご質問にも理論的にお答えしています。

 

実はわたくしはは薬膳教室を運営しながら、武蔵野大学の通信教育学部で心理学を修めた日本心理学会の認定心理士

 

だから「負の学習転移」が起こることも知っているので、出来るだけ生徒さんたちの心に寄り添ってレッスンを進めます。

 

仏教系の武蔵野大学では商業主義な葬式仏教ではなく、この世に生を受けたら人々との「縁」を大切に刹那を生きることなどを「自己を見つめる」必修科目で学びました。

 

そして、不調を抱えた生徒さんやそのご家族の食生活のお悩みを伺ったり、薬膳資格を取った後のキャリアカウンセリングをすることもあるので、「学習心理学」・「教育心理学」・「生理心理学」・「精神医学」・「キャリア心理学」等は必要だと思ったので、選択科目から特に選びました。

 

自営業のかたわら6年かけて体系的に学んだ心理学はとても実践的で、即、薬膳コースレッスンのカリキュラム作りにも活かしましたよ。

 

だから、子育てしながら・自営の仕事を抱えながら・フルタイムで働きながら・・・「ナチュラル薬膳生活専門家養成コース」で懸命に学んでいる生徒さんたちの大変さがよく分かるので、いつも心から応援しています。

 

そして通信大学の知識だけでは学習でのお悩み解決のカウンセリングのスキルが足りないと感じていたので、今秋からは日本メンタルヘルス協会の心理学カリキュラムにも通って衛藤信之せんせいから傾聴の大切さなどを学んでいます。

 

 

衛藤せんせいは何と一緒に暮らしたことのあるアメリカインディアンの素朴な世界観を交えながら、アメリカの最新の科学的な心理学を教えてくださいます。

 

インディアンの世界観は中国伝統医学の整体観念、「人体は小宇宙そして、私たちを取り囲む大自然は大宇宙、人は自然の流れにそって大宇宙と調和して生きていけば、心も身体も健やかに充実した人生を送ることができる。」という考え方にそっくり。

 

♣大自然(大宇宙)の息吹を感じる!早朝の気功のおけいこの眺めです。

 

わたしたちは全体の調和に貢献するようなそれぞれの使命を持って、この世に生を受けてきたみたいです。

 

それに気づいた人たちは生涯をかけてその使命を果たすために、それぞれが自分に必要なことを生涯学び続けて貢献貢献しながら、どんどん成長していくのでしょう。

 

若いときは何でこんなに自分は好奇心いっぱいで、いわゆる日本の義務教育が終わっても、働きだしても、ずっとずっと学び続けているのか分からなかったです。

 

しかしまだ社会貢献できていないのに、人生も後半戦に入り老年期が迫ってきました。

 

しかし最近は同じような価値観を持つ仲間たちや生徒さんたちと学びを分かち合っているうち、みんな生涯をかけてどうしても果たしたい使命があるからなんだなあと感じるようになりました。

 

こんなことを考えながらお悩み解決ブログを書いていたら、何と!マクロビと薬膳の違いに3か月くらい悩んでいた生徒さんから嬉しいご連絡が。

今回の講座で、マクロビオティック吹っ切れました。
気のエネルギーが伝わってくる様になった感じです。
薬膳食、気のエネルギー、ワクワクしてきました。

すぐに目頭が熱くなって頬に熱いものが伝うのが分かりました。

 

紆余曲折はあったしこれからもあるだろうけれど、サラリーマンを早く辞めて薬膳教室を開いて本当によかった。

 

こうして生かされて薬膳のお仕事を続けていけるのも、一生懸命学んでくれる生徒さんたちや、せんせい方や、支えてくれる友人たちや家族のおかげ。

 

梅酢について薬膳とマクロビの違いを聞かれたことをきっかけに、いろいろ考えながら薬膳の仕事に感謝するのでした。

薬膳を深めて家庭や仕事で活かしたい方に、中医学理論で組み立てる本格的な薬膳実践コースを開講しています。

【基礎】薬膳実践コースへ入学をご検討の方に、薬膳体験パーソナルレッスンを実施しています。

薬膳ライフコーチ須崎桂子けいてぃーが、心・体・魂が整う薬膳生活メルマガをお届けしています。

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病気の家族や自分に食事療法を出来ず悩んでいたとき、薬膳と出会い、中医学の食事療法を知り学ぶ。しかし健康には食事だけでなく、適度な運動や休養も必要なのに気づく。抽象的な伝統医学に現代の生理学や栄養学を掛け合わせ、ライフスタイル医学の暮らし方「ナチュラル薬膳生活Ⓡ」を考案。2008年にナチュラル薬膳生活文化普及協会を設立して、心・体・魂を整える薬膳フードセラピーの暮らし方を社会に広め続けている。