こんにちは。
ナチュラル薬膳生活文化普及協会理事長、薬膳ライフコーチ須崎桂子けいてぃーです♪
これまで薬剤師、看護師、料理教室の先生、エステティシャン、薬膳の専門家になりたい大人女性のみなさんに、本格的な薬膳コースをオリジナルテキストで十数年教え続けてきた実績を持っています。
2020年1月7日付の【魂のごちそう薬膳素材】日本酒にて「韮と芝海老の姜黄炒め」に関連して「うこん」に触れたのをお読みになりましたか?
今回は日本でいう「うこん」と中国の中薬(ちゅうやく・日本では「生薬」といいます。)が混同されている点について、改めてお話をさせて頂きます。
今年から「ナチュラル薬膳生活」や「メディカルハーブ」を学ぼうと思っている初心者の皆さんから将来、薬膳ライフでフードセラピーを始めるとき、出てくるであろう疑問のひとつだからです。
皆さんが年初のうちに「うこん」についての疑問をすっきり解消して、健康管理の目的に応じて薬膳ライフに活かしてくださったら幸いです。
「うこんの研究」薬膳素材たちを愛でる薬膳ライフの愉しみ
【魂のごちそう薬膳ライフ】無料メルマガにて、2020年1月11日に「うんちくで会話が弾む♪おうち薬膳」で書いたひとりメシお弁当タイムのときのことです。
もうお読みになった方もいらっしゃるかもしれません。
お弁当のご飯に入れた生の姜黄(きょうおう・中薬や薬膳素材として秋うこんを呼ぶときの正式名称です。)のみじん切りたちに、お味や香りの感想をひとりブツブツつぶやきました。
「(姜黄に向かって)やっぱりあなた達、生だと香りがきついわねえ。」
「香料入りのお化粧品のにおいみたいよ。」
「でもこの香りが好きな人には、食べるアロマセラピー効果(精油を飲むことではありません。)で、リラックス効果や血行促進作用を抜群に発揮するかもしれないねえ。」・・・
全文は健康寿命100%人生200%味わい尽くしたい貴女に届ける |
こんな感じで、薬膳素材たちに(心の中で)語りかけながら暮らしていると、「おいしい薬膳フードセラピー」プラス「軽い日々の不調のケアなら嬉しい結果」というカタチでお返事が来るのが、「ナチュラル薬膳生活(薬膳ライフ)」の愉しみです。
そんな日々の少し前、普通のスーパーでは手に入らない「生の秋うこん」を、千葉県の地場野菜をたくさん置いているお店見つけていました。
♣珍しく生の姜黄(日本では「秋うこん」といいます。)を地場野菜コーナーで手に入れました。
実は日本で「うこん」と呼ばれているのは(この「秋うこん」も)、中国の中薬(日本では生薬といいます。)でいう「うこん」とは微妙に違います。
この点を生徒さんたちにご紹介するのにちょうどいいと思ったし、自分も生の秋うこんはあまり見たり扱ったことがなかったので、早速買ってみました。
そして、「韮と芝海老の姜黄炒め」(おいしいブログ【魂のごちそう薬膳素材】日本酒(2020年1月7日)の末尾をご参照。)使ってみたり、何度も土鍋でご飯に炊いて不思議な味と香りを家族と一緒に何度も愉しんでいます。
日本で「うこん」または「秋うこん」と呼ばれているのは、中医薬膳学で「姜黄(きょうおう)」といいます。
姜黄はターメリックと同じもので、日本では歴史的に中国から情報が誤って伝わったらしく、「うこん」と呼ばれています。
買ってみた生の秋うこん(つまり姜黄)は使う部位によって、植物色素の植物化学成分クルクミンの含有量にばらつきがあるようで、同じ分量を使ってみても、ご飯がこんな風に真っ黄色になったり、あまり色がつかなかったりして興味深いと思いました。
まいにちの暮らしで薬膳素材たちと会話するように、こうして過ごしながら薬膳の仕事をするのはとても愉しいものです。
中国の「うこん」と日本の「うこん」
生の秋うこんでご飯を炊いたりしていると、薬膳を学び始めたとき に「日本でうこんと呼んでいるモノと、中国の中薬のうこんとは違うモノです。」と、中国人の中医師の先生から聞いて混乱したときのことを思い出します。
♣薬膳の悩みや疑問を一緒に考える薬膳講師「ナチュラル薬膳生活クリエイター須崎桂子」
「春うこん」と「秋うこん」の違い
わたくしが繰り返し秋うこんのことを姜黄(きょうおう)と呼ぶのかというと、両方とも同じ活血化瘀類(かっけつかおるい・血流を良くする分類)に属すものの、中国の中薬の「うこん」とは、「寒」と「熱」を感じさせる働きが逆だからです。
うこんは身体を冷やす「寒性」に対して、姜黄は身体を温める「温性」なのです。
でも、中薬学(日本でいう生薬学)の専門書を調べたら、うこんも姜黄もどちらも、和名の「春うこん」、または、和名の「秋うこん」と書いてあります。
これでは、どっちがどっちか分かりません。
見た目には「春うこん」は白っぽく、「秋うこん」は黄色っぽいものが多いので、どちらか一方だと思うのですが、はっきり記載されていなかったのです。
植物系薬膳素材はこのように、先人の知恵だけで薬効を理解するのには限界がある、と感じるようになりました。
そこでその後、メディカルハーブの植物化学科でも「うこん」をはじめ、様々なメディカルハーブでもあり中薬でもある植物のことを、現代の薬草学の見地からも学んだのですが、そのときも書籍の中で和名の「春うこん」「秋うこん」の呼び名が逆になっていてとても分かりにくかったです。
中国の中薬のうこんは、クルクミンが少なく精油成分が多めの「春うこん」のはず。姜黄は、クルクミンが多くて精油成分が少なめの「秋うこん」はずなのに、姜黄を「春うこん」と記載されていたのです。
ですから、薬膳講師の仕事を始めてからは、生徒さん達にこうした戸惑いが生じないように、『ナチュラル薬膳生活入門編』公式テキスト(薬膳素材の分類 各論 活血化瘀類 p.166-167)に、「うこん」と「姜黄の違い」を明確に記載しました。
今回も秋うこんで「”姜黄”ご飯」を炊いて食べてみて思いましたが、姜黄は「秋うこん」で植物の学名で同定するならCurcuma longa、うこんは「春うこん」で植物の学名で同定するなら Curcuma aromaticaとして、解釈するのが妥当です。
もちろん誤りが分かったら、また改めて分かりやすく生徒さん達にご説明いたします。
中国の中薬(生薬)のうこんは「冷やして」血液ドロドロを溶かす働きがあります。
そして、黄色い植物色素成分があまり含まれていないので、鮮黄色(せんおうしょく)ではないからご飯に炊いても黄色い色鮮やかなご飯に仕上がりません。
10数年前に通った薬膳教室の日本人スタッフの先生が、中国のうこんを使って「血行を促進する薬膳」として「姜黄ご飯」を教えてくださったのですが、「なぜ黄色くならないんだろう?」と首をかしげていたのを覚えています。
恐らくその当時、中国人の中医師の先生が中国のうこんと日本のうこんの違いを、日本人の先生にお伝えせずに薬膳素材として使うようにお渡ししていたのかな・・・と今になって思います。
ですから、姜黄は「温めて」血液ドロドロを溶かす働きがあると覚えておくとよいでしょう。
中医学の場合ですがひとくちに「血液ドロドロ」といっても、ふたつのタイプで見分けて治療します。
血脈(けつみゃく・いわゆる血管)を通る血(けつ・いわゆる血液)が健康な状態に比べて「熱すぎる」のか、「冷たすぎる」のか、原因が正反対の場合があるからです。
同じ血の巡りを促す治療を施すにも、熱ければ冷まして巡りを良くするし、冷たければ温めて巡りを良くします。
・・・ということは、「血液ドロドロ」の根本的な原因が熱いせいなのか冷えているせいなのか分かって取り組まなくてはなりません。
使うべき中薬や薬膳素材を選び間違えたら、症状がかえって悪化してしまいます。
ところで秋うこん(姜黄)は、解毒の肝臓をアルコール性肝炎から守る生薬(中薬)としてその働きが(実際以上に?)喧伝されていますよね。
お酒を飲み過ぎやすい宴会シーズンは、「先に「うこん」を飲んでから、アルコールを飲んだり、ごちそうを食べたりしよう!」のようによくいわれます。
薬膳の世界でも、姜黄は中医内科学的にいう「肝(かん)」働きかけるとはいわれています。
しかし確か以前、中国人の中医師の先生から日本でいう「うこん」は肝の薬というより胃薬(いぐすり)程度だと聞いたことがあります。
プラシーボ効果で肝の解毒機能が高まるなら、それはそれでいいとは思います。
とにかく薬膳素材として姜黄は血行を促進する中薬でもあり薬膳素材として分類されています。
しかも、姜黄は温めるほうなのでご注意ください。
ですから先ほどご紹介した姜黄は、冷え症のケアや冷えで血の巡りが良くない症状を改善する薬膳作りに役立ちます。
クルクミンに血行を促進する働きがあることは、科学的に立証されていますので、エビデンスを参照したい場合は、オレゴン州立大学のライナスポーリング研究所の学術的なクルクミンの研究情報を参照なさるとよいでしょう。
こうした学術情報サイトにはがんの予防治療・生活習慣病の改善・消炎作用・強肝作用などにクルクミンの有効性があるか科学的な臨床研究の現状が記載されています。
もうひとつ知っておくとよいのは姜黄が、いわゆるカレー粉に入っているターメリックと同じだということです。
これについては、ターメリック【柏発!魂のごちそう薬膳ライフ♪本格的な薬膳教室】にて、動画解説しているので、よかったらご参照ください。
生の秋うこんは普段の生活で手に入りにくいけれど、ターメリックパウダーならスーパーマーケットで簡単に手に入りますね。
よかったらどうぞ冷え症ケアの家庭薬膳作りにお役立てください。
秋うこん(姜黄・キョウオウ・ターメリック)薬膳への活用法
姜黄に含まれている血行を良くするクルクミンは脂溶性なので、吸収を良くしたい場合は、炒めものに加えたり、ご飯を炊くときに少量オリーブオイルを落とすのがお勧めです。
黄色く炊き上がった姜黄ご飯は、精米1合・生の姜黄10g・水200ml・オリーブオイル小1で炊きました。
姜黄の千切りが口に入って噛むと強い香りが鼻に抜けたり、やや苦味を感じますが、自分的にはおいしく感じましたし、ターメリック(姜黄)はカレー粉に入っているだけあって、きっとカレーに添えて一緒に食べたらなお一層おいしいだろうなあと思いました。
国内外のメディカルハーブの専門書を参照すると、姜黄(ターメリック)のパウダー(粉末剤)を水に溶いたりカプセルに入れて服用する摂取方法が記載されています。
健康食品としても、アルコールから肝臓を守ったり、生活習慣病を予防したりする効果効能を謳ったサプリがネットでずいぶん販売されていますね。
薬膳ライフなら「おいしく愉しくフードセラピー」で、適量を頂くのになあ・・・と感じた次第です。
では、今回のちょっとマニアックな「うこん」のお話しが、皆さまの健やかな薬膳ライフのお役に立てば幸いです。うこんと姜黄については、薬膳講師が執筆した公式テキストでもご参照頂けます。
デトックス系 活血化瘀類 姜黄
(和名:(秋)うこん 英名:ターメリック)
体温への作用・味の性質・臓腑への働きかけ・作用
温 苦辛 肝脾
活血破瘀 理気止痛 理気解鬱 利胆退黄
栄養素・生理機能成分
植物色素成分(クルクミン) 精油成分(シネオール ターメロン)
参考文献
『ナチュラル薬膳生活入門編』 p.167
【前期】コーディネーター養成コース 公式テキスト
『ナチュラル薬膳生活応用編』 p.152
【後期】アドバイザー養成コース 公式テキスト
須崎桂子
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