こんにちは。
ナチュラル薬膳生活文化普及協会理事長、薬膳ライフコーチ須崎桂子けいてぃーです♪
これまで薬剤師、看護師、料理教室の先生、エステティシャン、薬膳の専門家になりたい大人女性のみなさんに、本格的な薬膳コースをオリジナルテキストで十数年教え続けてきた実績を持っています。
薬膳ライフのまいにちライブ配信をご覧になって、免疫を整えたり、浮腫みを改善したりする黄耆(おうぎ)という名前の中薬(生薬のこと)を知った視聴者さまからご質問がありました。
「薬膳フードセラピーに使ってみたいと思っても、日本では一般に手に入りません。」
「その代わりに「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」でもいいですか?」
♣黄耆(おうぎ)免疫を整えたり、気を補給したり、むくみを除くのに役立つ中薬(生薬)です。
そこで今日は漢方薬と薬膳フードセラピーの関係にちなんだ話題。
慢性的なむくみの改善に「防已黄耆湯」のような漢方薬を服用を考えている人が食べたい、薬膳フードセラピーのお話しです。
まずは食事で改善。そのうえで専門家のアドバイスで防已黄耆湯。
中国伝統医学の先人の知恵では、不調があったらまずは食事で改善しようといわれています。
そのうえで、どうしても不調が改善しなかったら次の手段として、漢方薬を使うのがマル。
それに漢方薬とひとくちに言っても様々な種類があります。
漢方薬によっては急性病に処方するものなど、毒性のある薬草が加工されて配合されている場合もあるので、専門家のアドバイスが必要なのです。
ご質問を頂いた次の日にライブ配信で、「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」について楽しく語りましたので、ご興味がございましたらどうぞ。
黄耆(おうぎ)は、中薬の中でもわたくしが一番好きな気(生体エネルギー)を補給する薬膳素材です。
でも、中国や香港や台湾や韓国などと違って日本ではお薬の扱いなので、家庭料理用には手に入れられないのです。
わたくしは毎年香港に薬膳素材を調達しに出かけていくので、黄耆(おうぎ)も買ってきます。
でも今年は新型コロナウイルスが世界的に蔓延しているので、海外への渡航はほぼ無理なので、とても残念です。
また安心して香港研修ツアーを再開できるようになったら、皆さんと一緒におでかけして、
薬膳に使える中薬を買ったり、
九龍公園で清々しく気功や太極拳の朝稽古をしたり、
化学調味料を使わないわたくしのイチオシ!「王子飯店」にご飯や飲茶に行ったり、
楽しみたいと思っています♪
むくみを改善する防已黄耆湯ってどんな漢方薬?
ところで、「防已黄耆湯」というのは、日本では漢方薬と呼ばれていて、エキス剤などでドラッグストアで購入することができます。
ライブ配信でも語っていますが、すでに防已(ぼうい)や生姜(しょうきょう)など、他の中薬と一緒に配合されている状態です。
むくみの改善を目的にお使いになりたいようだったので、念のため、『方剤学(ほうざいがく)』で専門的な組成成分の配合の理由を調べました。
方剤というのは日本漢方でいう漢方薬のことで、中医学では正式には方剤といい、中薬を組み合わせた処方のことです。
「防已黄耆湯」には、あまり毒性の強い中薬は配合されていません。
実は1800年前の処方!
あの有名な葛根湯も編み出した張仲景さんという中医学の先達の医家の処方で、『金匱要略』という医典に収載されているのです。
日本漢方の処方ではオリジナルの処方の構成がアレンジされていることがありますが、『方剤学』によると6種類の中薬が配合されています。
配合の組み合わせのうんちくは難しいので、中国伝統医学(中医学)の見地からやさしいことばで、配合を紐解いてみますね。
防已黄耆湯には、実は生姜や棗(なつめ)や甘草(リコリス)のような食材やメディカルハーブも含まれています。
これらの3つは、水はけを担当するいくつかの内臓の働きを調和させて、水毒を取り除くそのほかの3つの中薬の働きを間接的に助けるように加えられています。
ダイレクトに水毒を取り除くためのメインの中薬は、
その他の3つでが、面白いことに取り除き方が微妙に違うので、敢えて3種類を組み合わせているようなのです。
【防已(ぼうい)】
感染症の影響でぱあっと身体の表面に水毒がたまって生じる急性のむくみに対して、水毒を押し流して取り除くよう働きかける。
【黄耆(おうぎ)】
身体の中に溜まった水毒のむくみに対して水毒を押し流して取り除くように働きかける。
黄耆は気(生体エネルギー)をチャージするので、防已の水毒を押し流す働きもさらに強くなる。
黄耆は身体の表面をしっかり閉めて守るので、悪い感染症が入ってこないように防ぎつつ防已と助け合って感染症のモトを取り除く。
【白朮(びゃくじゅつ)】
水はけを担当する内臓の働きをよくすることで間接的に水毒を取り除くように働く。
黄耆が内臓の働きを活性化させる生体エネルギーを補給する力を助けたり、水毒を取り除く働きも強化する。
・・・こんな感じですが、中医学の内臓の働きを習っていないと、何の話か分かりにくいかもしれません。
とにかく、方剤で中薬を何種類も配合する理由は、お互いに助け合って、不調を改善する目的(ゴール)を達成するためです。
ところで中医学では、中薬を配合した昔から伝わっている処方を方剤といいます。
漢方薬は日本語です。
こうした方剤はドラッグストアやネットショップでカンタンに買える時代になりました。
でも、方剤の処方は中医学や日本漢方の専門家からきちんと診断を受けてから服用するのがよいです。
症状や体質に対して処方の見立てが合っていないと、効かないどころか具合が悪くなる場合もあるからです。
それに、むくみといってもさまざまなタイプがあるから、それに合わせて処方する必要があるのです。
お問い合わせをくださった方にはそのようにお伝えしました。
そして、お料理に方剤をいれるのではなく、方剤は方剤で服用してねとお話ししました。
そして、わたくしが配信した効き目のマイルドなむくみ改善の薬膳「冬瓜としめじのチキンスープ」のように身近な家庭の薬膳をご参考にご紹介した次第です。
わたくしは黄耆を入れて薬膳スープを作りましたが、冬瓜の皮や種を先に煎じて作るので、食べた後で利尿やお通じ改善の効果が高いです。
もし、むくみにお悩みのようでしたら、普段の食養生にどうぞお役立てください。
今日はちょっと漢方ヲタクっぽい話題になりました(^^ゞ
まとめ。防已黄耆湯の服用を考えている人に。むくみ改善の家庭薬膳。
慢性的なむくみなど体質のせいでお付き合いしなくてはならない不調に悩む大人女性は多いです。
わたくしも冷えやむくみなど、根本的な体質のせいで完ぺきには根本治療がなかなか難しい不調はあります。
ひとくちにむくみといってもさまざまなタイプがあるので、漢方薬を服用する場合は、まずは専門家に診て頂いたほうがいいですね。
そして、漢方薬やそのほかのお薬を服用していたとしても、そうでなくても、わたくし達は命をつなぐために、まいにちお食事を摂ります。
両親のおかげで生まれてきた後、わたくし達の身体は食べ物で作り変えられて一生を過ごします。
ですから、昔から中医学の先達はまず食べ物で身体を癒す方法を試してから、お薬を服用するものだと後世に伝えてくれているのです。
薬膳ライフはそんな先人の知恵を現代栄養学や現代医学と融合して、生活習慣病を防ぐフードセラピーを中心とした健やかな暮らし方を提案しています。
すると、どんなものをどんな風に調理して食べると、健康を維持したり、ご自身の体質に特有の不調を少しでも和らげたりする食事療法を自分で考えられるようになります。
中医学で食事療法を考える中医レシピのスキルがあれば、家庭でおなじみの食材で薬膳フードセラピーをさっと作れるようになります。
まいにち必ず摂るお食事を大切にしながら、人生を健やかに200%味わい尽くしたい、人生の使命(ミッション)を果たしたい大人女性のみなさんの美と健康を守るお役に立てば幸いです。
栄養補給系 補気類 黄耆 *体温への作用・味の性質・臓腑への働きかけ・作用* 温 甘 脾 肺 補気昇陽 固表止汗 托毒生肌 利水消腫 *栄養素・生理機能成分* サポニン |
参考文献
『ナチュラル薬膳生活入門編』 p.116
【前期】コーディネーター養成コース 公式テキスト
『ナチュラル薬膳生活応用編』 p.154
【後期】アドバイザー養成コース 公式テキスト
須崎桂子
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