こんにちは。
ナチュラル薬膳生活文化普及協会理事長、薬膳ライフコーチ須崎桂子けいてぃーです♪
これまで薬剤師、看護師、料理教室の先生、エステティシャン、薬膳の専門家になりたい大人女性のみなさんに、本格的な薬膳コースをオリジナルテキストで十数年教え続けてきた実績を持っています。
今日も雨が降りしきる「梅雨冷え」のフードセラピーに梅雨の季節薬膳「蒸し海老とズッキーニの葛あんかけ」を作りました。そのときに、葛粉と本葛粉と葛根湯に入っている葛根の違いについて想いながらお料理したお話しです。
本葛粉も葛根も同じ葛の根部、ただし、葛粉はじゃが芋のことも
薬膳の源である中国伝統医学(中医学)では、梅雨どきは身体の中に水毒が溜まりやすいと考えられています。
ですから、薬膳フードセラピーをするときには、水毒をデトックスする、そして身体の中の水分を代謝させる臓器の働きを高める方法で中医レシピを組み立てます。
中医レシピというのは、中医学の理論にそって薬膳のレシピを組み立てる方法です。
水毒を取り除く方法には、体の表面から発汗させる、利尿で排出する、お通じで取り除く・・・という主に3つの方法があります。
このうち、身体の表面から身体の表層にある水毒のような毒素を、辛味の刺激で発散させて取り除くことを、専門用語で、解表(げひょう)といいます。
今日はこの解表の働きを持つ葛根(かっこん)を使って、梅雨時に起こりやすい浮腫みをケアすることにしました。
葛根には、水分の代謝を担う中医学で「脾(ひ)」と呼ばれる消化器系統の機能を助ける働きがあります。脾は西洋医学の脾臓のことではありません。
ところで、本当の葛根は、有名な漢方薬の葛根湯にも配合されているマメ科の葛(クズ)の根部です。
生薬で使う葛根は、そのものを漢方薬に入れるために加工した薬です。
一方、薬膳フードセラピーに使う場合は、生薬の葛根ではなく、食品としてスーパーで手に入れやすい「本葛粉」を使います。
そのままの葛根の根部は、土から彫り上げた根っこですから、皮もついていますし黒っぽいです。
しかし、食品として使う葛根は皮を除いてかなり生成して真っ白な石膏のような塊状で売られています。
ですから、厳密に言うとお薬として使う葛根とは全く同じではありません。
葛根については、動画レッスンでもお話しをしていますので、よかったらご参照ください。
メディカルハーブの見地から捉えると、葛根にはダイゼインという植物化学成分が含まれています。
中医営養学的に見ると、葛根は先程もご説明したように体表から水毒を発散させる働きがあるのですが、その際、熱も一緒に逃がします。
食品の本葛粉はかなり精製しているせいか、辛味はほとんど感じませんが、解毒や熱さましには働くようです。
ダイゼインには炎症や熱を鎮める働きがあるので、先人は葛のこれらの働きを活用してきたのでしょう。
今回は梅雨寒の日の水毒のデトックスに本葛粉を使いたかったので、冷えすぎないように温かい蒸し料理の調理法で、温性の海老と一緒に春菊も足しました。
春菊には、お通じで身体の中の余計な水毒を腸管から取り除く働きがあるので、体の表面から水毒を除く本葛粉と合わせて2つの経路から解毒を促すことができるのです。
解毒を担う臓器の「肝」に負担をかけたくなかったので、油脂を使う炒め物にせずに今回は日本酒で蒸して仕上げた次第です。
野菜から出た蒸し汁に本葛粉とお水を溶き入れて、とろりとした葛あんを作って上からかけました。
簡単でとてもヘルシーな海の幸と野菜のコラボ薬膳の一品です。
ところで、薬膳素材として食品の葛を選ぶ際は、「本葛粉」を選ばないで、「葛粉」を選ぶとじゃが芋が原料のことがあります。
じゃが芋でんぷんでも美味しいあんかけ料理はつくれますし、じゃが芋は消化器系統で体内の水分代謝にも関わる脾に働きかける薬膳素材でもあります。
ですからじゃが芋でもよいのですが、こちらでご紹介しているような葛根のダイゼインの働きを得たい場合には、葛が原料となっている「本葛粉」を選ぶとよいでしょう。
まとめ 葛の働きを得たい場合は「本葛粉」を選んで
葛根湯のようなお薬に含まれる葛根ほどではないにせよ、「本葛粉」を活用すれば、身体の表面を冷ましなから余計な水毒を デトックスする薬膳を作ることができます。
本葛粉は柔らかで上品なとろみがでますので、あんかけのほか、薬膳スープのとろみづけにも役立ちます。
炎症や熱をほどよく冷ますダイゼインの働きを活用したい場合は、本葛粉を利用しておいしい薬膳を作ってみてくださいね。
薬膳素材の分類では身体を冷ます涼の性質になっていますが、温かい薬膳スープで頂けば身体を冷ます作用を和らげることができます。
ぜひ、ご自身の薬膳のゴール(目的)に合わせて、ちょっと贅沢な本葛粉も活用して日々の暮らしにお役立て頂ければ幸いです。
体温調節系 辛涼解表類 葛根 *体温への作用・味の性質・臓腑への働きかけ・作用* 涼 甘辛 脾胃 発表解表 透疹 解熱 生津止渇 *栄養素・生理機能成分* 炭水化物 カルシウム ダイゼイン |
参考文献
『ナチュラル薬膳生活入門編』 p.85
【前期】コーディネーター養成コース 公式テキスト
『ナチュラル薬膳生活応用編』 p.128
【後期】アドバイザー養成コース 公式テキスト
須崎桂子
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