こんにちは。

ナチュラル薬膳生活文化普及協会理事長、薬膳ライフコーチ須崎桂子けいてぃーです♪

 

これまで薬剤師、看護師、料理教室の先生、エステティシャン、薬膳の専門家になりたい大人女性のみなさんに、本格的な薬膳コースをオリジナルテキストで十数年教え続けてきた実績を持っています。

 

ハーブ薬膳茶と須崎桂子

薬膳素材「柿」と「干し柿」加工で違う働き

たまたま昨日、導引養生功のお師匠さまから「干し柿」(ほしがき)を頂きました。

そういえば、少し前に栃木の気功メイトさんからたくさん頂いた富有「柿」(ふゆうがき)が、まだひとつ冷蔵庫にあったのを思い出して、引っ張り出しました。

♣薬膳素材の柿と干し柿を比べっこ

並べて比べっこしてみると、ずいぶん見た目が違いますね。

富有柿は、舌に渋みを感じさせる水溶性タイプのタンニンが少ないので、熟したらフレッシュなまま、生果で食べられる甘柿。

一方、水溶性タンニンの多い干し柿は、皮を剥いてお日様に干して、舌が渋みを感じない不溶化タンニンに化学反応させた加工食品。

柿も干し柿も同じ植物の果実ですが、生果の「柿」と、生果をドライフルーツにした「干し柿」は、それぞれ薬膳的にみると「寒性(かんせい)」と「温性(おんせい)」。

つまり先人の経験則ではありますが、「冷やす」vs.「温める」、真逆の性質を持つ薬膳素材になります。

もともと同じ果物ですが、こんな風に比べっこするよい機会なので、薬膳素材の「柿」と「干し柿」の働きがどう違うのか、現代栄養学も交えながら、家庭薬膳への活かし方をやさしくご紹介致しますね。

 同じ植物でも何らかの加工することによって、性質や作用が変わる薬膳素材は結構多いのですよ。

「柿」でカゼ予防、「干し柿」でアンチエイジング

柿も干し柿も両方とも、細胞が錆びるのを防ぐ抗酸化作用のある植物色素成分や、タンニンを含んでいます。

ですから、「柿」でカゼ予防と言いましたが、どちらも細胞壁を守ってエイジングを緩やかにする、アンチエイジングにぴったり。

そして、生果の柿1個には1日に必要な量のビタミンCが含まれています。ビタミンCは皮膚のコラーゲンを作るので美肌効果が期待できるほか、カゼの予防など嬉しい働きがあります。

水分が多くて瑞々しく身体を冷やすのですが、呼吸器の肺を潤すので乾燥するシーズンには咳を鎮めるのに使える薬膳素材です。

干し柿は日干しすることで水分が抜け、冷やす作用が温める作用に変わる薬膳素材です。

ビタミンCは壊れてかなり減ってしまいますが、活性酸素を取り除くβ-カロテンの量が約3倍に増えるほか、疲労回復にウレシイ甘味やミネラルがギューッと凝縮されています。

 

 ☯生果の柿はビタミンCや水分が豊富なので、カゼ予防や美肌や呼吸器のケアに。
 ☯干し柿は、β-カロテンが多く甘味が強いので、アンチエイジングや疲労回復に。

薬膳素材名
性質・主成分
100gあたり

甘柿 干し柿
薬膳素材 分類  止咳平喘 止血 
四気  寒
五味 甘 渋  甘 渋
帰経  心 肺 大腸 心 肺 大腸 胃 
主な作用

 清熱解毒 生津止渇
熱毒解酒     

止血 渋腸
潤肺 健脾 
水分 83.1 24.0
エネルギー Kcal  60  276
 炭水化物  g 15.9 71.3
 たんぱく質 g 0.4 1.5 
 脂質 g 0.2 1.7
 カリウム mg 170  670
 鉄 mg 0.2 0.6
亜鉛 mg  0.1 0.2 
銅 mg 0.03 0,08
ビタミンC mg 70
β-カロテン μg 160 370
葉酸 µg 18 35
食物繊維 g 1.6 14

♣参考文献・データ
『ナチュラル薬膳生活入門編』
『五訂増補日本食品標準成分表』 柿 干し柿 文部科学省

瑞々しい生果の甘柿は、そのまま水菓子として頂くのも良いですね。

でも、せっかくの美味しい薬膳素材なので、サラダに混ぜたり、白和えに加えたり、ヨーグルトのトッピングに活用したり、自然の甘さを利用して、身体を潤す家庭薬膳に仕上げるのも一考です。

身体を温める働きを持つ甘~い干し柿は、クリスマスの肉料理のフルーツソースに活用したり、お正月のなますに加えて「柿なます」にしたり・・・

滋養が必要な冬のホリデイシーズンの食卓を彩る、家庭薬膳作りにも是非活用してみてください。

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病気の家族や自分に食事療法を出来ず悩んでいたとき、薬膳と出会い、中医学の食事療法を知り学ぶ。しかし健康には食事だけでなく、適度な運動や休養も必要なのに気づく。抽象的な伝統医学に現代の生理学や栄養学を掛け合わせ、ライフスタイル医学の暮らし方「ナチュラル薬膳生活Ⓡ」を考案。2008年にナチュラル薬膳生活文化普及協会を設立して、心・体・魂を整える薬膳フードセラピーの暮らし方を社会に広め続けている。