こんにちは。
ナチュラル薬膳生活文化普及協会理事長、薬膳ライフコーチ須崎桂子けいてぃーです♪
これまで薬剤師、看護師、料理教室の先生、エステティシャン、薬膳の専門家になりたい大人女性のみなさんに、本格的な薬膳コースをオリジナルテキストで十数年教え続けてきた実績を持っています。
子供の頃、お土産にお寿司の折り詰めなどを父親が買ってくると、その中に当たり前のように入っていた緑色のギザギザがついたプラスチックの飾り。バラン(ハラン・葉蘭)。
「食べられないし、ごみになるのに何で入っているのだろう?」とずっと思っていました。
皆さんは疑問に思ったことはありませんか?
慣れは怖いもので不要なものでも入っているのが当たり前になると、「そういうものだ。」と何とも思わなくなりがちですよね。
でも、こうした飾るだけの目的ですぐに捨てる「うそ」のプラスチックの添えものは、【薬膳ライフ】の薬膳素材選びや食卓作りには要らないなあ・・・と、ひとりキッチンで薬膳フードセラピーのレシピを考案しながら改めて感じたお話しです。
すぐ捨てる「うそ」の青あしらいは不要です。
かく言うわたくしも現代社会生活において、プラスチック絶対反対などと極論は語れません。
普段はお気に入りのエコバックを持ち歩いていますが、お買い物でエコバックを忘れてしまうとプラスチックのレジ袋をもらってしまいます。
今まさに使っているパソコンの筐体(きょうたい)だって、今自分の顏の上にかかっているおしゃれな老眼鏡だって、運転している車の備品だって、ブログの画像を撮ったカメラの部品だって、薬酒を入れているガラス瓶の密封用パッキンだってプラスチック製。
石油から作れる工業製品の大量生産によって誰でも安価なプラスチック製品で生活を便利に過ごせるようになった現代社会生活です。
プラスチックのない生活は誰も考えられない世の中になってしまいましたものね。
食に関しても、プラスチック製の安価な食品トレー、カップラーメンの入れ物、カトラリー、ストロー、テーブルマット、ありとあらゆる装飾品・・・何でもかんでも作れるようになりました。
だから今では日本に限らず、世界中で巷にはこうした崩壊しにくいプラスチックごみのモトが商品や生活用品として溢れています。
わたくしが生まれた昭和30年代は戦後の高度成長の黎明期で、こうした便利なプラスチック製品は既に世の中に出回っていて、それがどんどん生活用品の中で増えてきた時代でした。
それでも小学生の頃は近くの売店にお菓子を買いに行くと、お店の人が広告紙や新聞紙を折って作った袋に商品を入れてくれていたから、プラスチックバックはあまりなかったですね。
母もサザエさんみたいに買い物かごを下げて商店街に買い物に行っていた様子を見たような記憶があります。
お豆腐屋さんが引き売りに来るとお鍋を持って、近所のお母さんたちが買いに集まってくるような光景も珍しくありませんでした。
そういえば、90年のバブル崩壊前に20歳で化学工業会社に就職したころは、ちょうど清涼飲料水の入れものがガラス瓶からペットボトルに切り替わった時期で、確かその材料を勤め先が作っていたように記憶しています。
とにかく景気優先でエコとか環境にやさしくしようとか、美しい地球を未来に遺そうと配慮する人が少数だった日本で社会人になりました。
その後、様々な文化的背景を持つ人たちが住むアメリカや香港に移って、留学したり働いたりして多民族の住環境から多様なものの見方や考え方を知り肌で感じました。
日本に戻り人生の後半に入ってから、大自然と人体の調和を説く中国伝統医学(中医学)の流れを汲んだ薬膳に目覚め、薬膳教室を立ち上げて、【薬膳ライフ】のコンシェルジュとして生きている現在が夢のようです。
そんなわたくしが、おうち薬膳を作るためにお肉を買った時のこと。
「うそ」のプラスチック製のレタス風の切れ端が、プラスチックトレーの中のお肉の下から出てきたのでさすがに驚いてしまいました。
え?なぜ?食品の見栄えを良くするため?
開封したらすぐに捨てることになる「うそ」の青あしらい。
食品トレーは血や水分がしたたるお肉を運ぶのに必要ですが、この緑色のプラスチックのピラピラは要りません。
バランは子供の頃から見慣れていましたが、加工商品だけではなく食材自体にこの過剰なしかもすぐに捨てられてしまう装飾は必要なのか、考えさせられてしまいました。
薬膳ライフは食養生を中心とした健やかな暮らし方です。
生活全体のクオリティーが健康を左右する「陰陽ホメオスタシスのネットワークシステム」バランスを整えるから見た目で心を癒すお料理の盛り付けにも気を配ります。
でもそれは別に、お料理や食卓をうその彩りでゴージャスに飾り立てるという意味ではありません。
お食事を目にしたときにその自然な「様(さま)」からビジュアルに食欲がそそられて幸せな気持ちになり、お料理だけでなく食事空間そのものも愉しむしつらえをすることです。
もちろん薬膳はフードセラピーなので、まず料理が食べる人の健康維持増進や軽い不調のケアといった目的に合わせて作られているのか、効果効能が前提条件です。
でも、いくら身体によいテイラーメイドの薬膳の食事療法であっても、おいしくなかったら生活が意気消沈してしまいます。
だから薬膳ライフでは味や見栄えにも気を配っておいしく薬膳を作れるように、中医学の先人の知恵を日本人の家庭生活に合うようにアレンジしてお伝えしているのです。
しかし日本の食文化には、プラスチックのバランやレタスの青あしらいのように、自然を見栄えに偏重してとらえる風潮がたまに見受けられるのが気になります。
もちろん、こちらのめかじきの切り身に添えた笹の葉のように殺菌力を使って生鮮品を腐敗から守っていたころの名残が見られる売り方をしている場合もあります。
以前、薬膳の写真技術を向上するために、和食のスタイリングを学びに行ったことがあるのですが、先生が「和食文化は見た目を重んじる」と教えてくださいました。
和食の料理人が創り上げる食膳は、美しい日本庭園を眺めるのと同じようにまずビジュアルで愉しむのがセオリーなのです。
♣和食スタイリングを学んだときのノート書き(わたくしの”夢のノート”からの抜粋)
それ自体は大変素晴らしい日本の食文化の遺産です。
確かに緑豊かな光景に人が手を加えたとはいえ、日本庭園に自然に配置された庭石や池の水面に輝く日の光を眺めると心が癒されますよね。
そんな雰囲気を食膳に反映した和食のお膳をさっと作れるようになったら、一目見ただけで食す前から免疫系が整ってしまうようにさえ感じます。
和食スタイリングを学んだ際、恐らく中国古代哲学の五行学説に由来するのでしょうが、五色という彩りを意識した和食のお膳をしつらえるワークショップも体験させて頂きました。
和食では五行の五色をベースに青・黄・赤・白・黒(しょう・おう・しゃく・びゃく・こく)をバランスよく、すべて使います。
このビビッドなしつらえは、わたくしのセンスなので他の受講生さんたちの作品はもっと落ち着いた彩りでした。
五行はもともと中国古代哲学から生まれた自然観で、季節や色彩や臓腑など、この世の万物は五種類の「行」と呼ばれるカテゴリーから成り立っているという学説です。
和食では五色の読みも独特だし、火行の赤と土行の黄が 中医学で五行を語るときと、後先が入れ替わっているのが面白いと思いました。
日本人は緑豊かな自然の光景を愛でるだけで、人間はもともと大自然の一部から生まれたのだという郷愁を感じるのかもしれません。
しかしなぜその美しい日本の伝統が、「うそ」のプラスチックの緑色のバランやレタスを「あしらう」ようになったのかもったいないように思います。
自然を模倣しているのかもしれませんが、それは自然を壊す「うそ」です。
すぐに崩壊しない石油製品のプラスチック容器は海洋汚染の原因となり、現在は世界的な社会問題になっています。
それなのにわざわざ、「見た目」だけのためにすぐゴミになる「青あしらい」風。
それは、自然を愛でるどころか自然破壊につながります。
【薬膳ライフ】にこうした「うそ」は不要です。
須崎桂子
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