こんにちは。
ナチュラル薬膳生活文化普及協会理事長、薬膳ライフコーチ須崎桂子けいてぃーです♪
これまで薬剤師、看護師、料理教室の先生、エステティシャン、薬膳の専門家になりたい大人女性のみなさんに、本格的な薬膳コースをオリジナルテキストで十数年教え続けてきた実績を持っています。
立春を前に妙に温かくなったりまた冬の寒さが戻ったり、暖冬の異常気象が続きますね。
さすがに再び日中の気温が10℃前後と気温が急降下しましたが、透き通った日差しの向こうに青空が広がってとても気持ちがいいです。
そんな週末に家族が嬉しそうに舞茸を買ってきたので、お昼ごはんに炒めてすぐ食べようかとも思ったのですが、せっかくのお日様の恵み。
♣柏方面2020年2月1日の青空に白い雲 photo by ©須崎桂子
この機会に以前から書こう書こうと思っていた「誰でも簡単に作れる!」がんや生活習慣病や骨粗鬆症の予防に役立つ手作りの薬膳素材「日干し舞茸」を、皆さんにご紹介しようと思い立ちました。
舞茸は科学的に研究されていて一定のエビデンスのある薬膳素材兼メディカルハーブ。
わたくしは、こうした「エビデンス薬膳素材」のお話が、日本の家庭でお台所を守っているキッチンドクターの皆さんのもとに届くといいなと思っています。それに体調の改善につながるのであれば、プラシーボ効果でもよいと考えます。心と身体は一体だからです。
そして微力ながら、健康を守ってますます元気になる食べ物や食べ方が、一つひとつのご家庭から社会全体の健やかな暮らしにつながり、ひいては医療・介護の社会保障費の増加を少しでもおさえる一助になれば幸いです。
国立社会保障・人口問題研究所や厚生労働省の統計によると(内閣府の経済財政諮問会議)、2016年の介護・医療・年金を含む社会保障費は118兆円(予算ベース)。2025年には、およそ150兆円、約1.3倍になると予測されています(2012年推計)。
社会保障給付費のうち、介護給付費の伸びは目覚ましく、2012年には8.4兆円だったのが、2025年には(2012年推計)19.8兆円と2倍以上になるというのです。
2016年には人口減少がすでに始まって出生数が100万人を割るなど、少子高齢化がますます進んでいることが目に見えています。
お国頼みや人頼みで生きていくのが難しい未来を受け止めて、わたくし達一人ひとりが大切な命をまっとうするまで心身ともに健やかであるために、今からできることは普段の生活で心がけたいものですね。
舞茸については『ナチュラル薬膳生活入門編』(113ページ)と『ナチュラル薬膳生活応用編』 (134ページ)の薬膳素材辞典の補気類一覧に収載しています。
そして、『ナチュラル薬膳生活入門編』の110ページに免疫賦活作用(免疫力を活性化する働き)や抗癌作用について、科学的な報告があることを書きましたが、本格薬膳テキストという出版物の性質上あまり深く掘り下げて紙面を割くことができませんでした。
そこで舞茸についてリサーチを加えて、薬膳ライフキッチンからお届けすべく動画レッスンも撮りました。舞茸を活かす今日の薬膳ライフのお話は、このように進めていきたいと思います。
◎ 知られざる美味しい薬膳素材「日干し舞茸」
●「日干し舞茸」の作り方
●「日干し舞茸」の調理例
◎ 科学的エビデンスが研究されている「舞茸」の抗がんパワー
◎ 生活習慣病・骨粗鬆症予防にも働く「舞茸」のパワー
◎ 営養補給系 補気類 「舞茸」 五臓(肝心脾肺腎)を元気に
ナチュラル薬膳生活の薬膳ライフコーチとして、舞茸について現代生理学や現代栄養学の視点を中心に、最後に中医薬膳学的な働きにも触れるかたちでお話させて頂きますね。よかったら最後までお愉しみください。
知られざる美味しい薬膳素材「日干し舞茸」
「日干し舞茸」はご家族のキレイと健康を守りたい、がんになりたくない、がんの再発を防ぎたい、お台所で家族の健康を守っているすべての「家庭薬膳キッチンドクター」の皆さんにお伝えしたい薬膳素材です。
舞茸は効果効能はともかく、舞茸を天日に干して「日干し舞茸」にすると「信じられないくらいもっと美味しくなる!」のです。
でも薬膳や生理機能成分についてお話する前に、誤解のないよう先に「免責事項」を記載させてくださいね。
「舞茸」「日干し舞茸」についての免責事項
✔但し、「舞茸」や「日干し舞茸」を食べていれば必ずがんにならないとか、がんが治ると言っているわけではありません。
✔「舞茸」や「日干し舞茸」の広告宣伝を頼まれているわけでもありません。
✔科学的な検証に基づいて「舞茸」や「日干し舞茸」について記述していても、発表後の研究で科学者の所見は変わる場合があります。ですから、書かれていることがすべて正しいという保証もありません。
✔いくら「舞茸」や「日干し舞茸」を食べても、偏らない食事・適度な運動・適度な睡眠・心身の養生など、薬膳ライフ全体のバランスが整っていないと、心と身体の健康を保つことはできません。
✔これらの免責事項をご了解頂いたうえで、「舞茸」や「日干し舞茸」を皆さまの健やかでおいしい薬膳ライフに活用してくださったら幸いです。
薬膳素材が健康にもたらす働きの表記は誤解を生じることが多いので、まず先に赤い文字で注意書きをたくさん書いてしまって恐縮でした。
「舞茸」「日干し舞茸」メディカルハーブでもある薬膳素材
とにかく舞茸自体はまず、日本のスーパーマーケットでおなじみの手に入れやすくて「美味しい食きのこ」ですよね。
これがお話ししたとおり天日干しにすると、もっと美味しさを増して長期保存可能な乾物系の薬膳素材「日干し舞茸」になるのです。
舞茸はメディカルハーブでもあり中薬にもなる「薬食兼用」(ナチュラル薬膳生活文化普及協会の用語・基準)で、補気類の薬膳素材です。
完成版の「日干し舞茸」はこんな感じで、冷蔵庫に常備してあります。
寒い時期は晴天の日に天日干しをしても気温が低いので、1日でここまではなかなかカラッカラにはなりません。
でも湿度が低い時期なら大体乾き始めていれば部屋に取り込んでしばらく放置しておくだけで、部屋中にきのこ独特の良い香りを放ち始めます。
だから、天日干しの次の日が晴れでなくても大丈夫。但し、梅雨時はどうしてもカビやすいので、冷蔵庫保存で1年くらい持ちますから、天気のよい乾燥期にまとめて作っておくと便利です。
補気類の舞茸(まいたけ)を日干しにする方法や働きについては、簡単に動画レッスンを撮りましたので、ご興味がございましたら「魂のごちそう薬膳素材♪舞茸」をご参照ください。
千葉 薬膳素材 日干し舞茸で がんや骨粗鬆症を予防【柏発!魂のごちそう薬膳ライフ♪本格的な薬膳教室】
※動画を見られない環境にいらしたり、日干し舞茸の作り方・お話しで出てくる中国伝統医学(中医学)や薬膳学や生理機能成分の専門用語の漢字や読み方を確認したいときは、文章で続きをお読み頂けます。
手軽に作れる乾物系の薬膳素材「日干し舞茸」の作り方
1.お天気の日に日当たりの良い場所にキッチンペーパーなどを敷き平ざる(上記の動画参照)をのせる。
2.市販の舞茸を1パック(100~150g)を4~5cm程度の長さに細く割いて平ざるに重ならないように並べる。
3.常に日に当たる場所に移動しながら上下を返してよく乾燥させる。1日で乾ききらなかったら、日が落ちる前に室内に入れてそのまま風通しのよいところに放置しておく。
4.次の日も乾かす必要があればまた日干しを続けるが、天気が悪ければそのまま室内でカラカラに乾かし続ける。
5.大体1/10のかさに縮んで良い芳香を放ちだしたら乾燥しきった目安。生の舞茸100gなら10g程度になる。湿気が入らないタッパ等の密閉容器に移して冷蔵庫で保管する。そのままで1年は持つ。
がん・生活習慣病・骨粗鬆症を予防する「日干し舞茸」の薬膳調理例
「日干し舞茸」はそのままお味噌汁やご飯に加えてすぐに調理できるので便利です。しかも、日干し舞茸自体からよいお出汁がとれます。
パスタソースや炒め物に使うときは熱湯に10分くらい浸して戻してから、有効成分をすべて摂れるように戻し汁ごと使うとよいでしょう。
こちらはわたくしが、「ふたりでずっと健やかに幸せに暮らしたい。」を叶えるために、日干し舞茸で作った簡単で美味しすぎる「カレと愉しむ。心身ほっこりおうち薬膳」調理例。
忙しくてもヘルシーなフードセラピーを作りたいと願う、魔女の家庭薬膳キッチンドクター達のお役に立てば幸いです。
日干し舞茸とわかめのお吸いもの(2人分)
材料:
日干し舞茸 5g
水 400ml
日本酒 大1
粗糖 0.5ml
自然塩(岩塩) 0.5ml
醤油 小1
生わかめ 20g
絹ごし豆腐 1/6丁
切り三つ葉 少々
作り方:
1.わかめを食べやすい大きさに切る。豆腐をさいの目に切る。三つ葉を5mmに切る。
2.鍋に日干し舞茸・水・日本酒を入れて火にかけ沸騰してきたら中火で10分煮る。
3.粗糖・自然塩・醤油で調味して味を整える。
4.わかめと豆腐を加えてひと煮たちさせて火を止め、碗に盛って切り三つ葉を散らす。
科学的エビデンスが研究されている「舞茸」の抗がんパワー
舞茸は、抗腫瘍作用(いわゆる抗がん作用)の有効性がずいぶん前から科学的に研究されて”エビデンス(論拠)”が、学会やインターネットで発表されている薬膳素材のひとつです。
生徒さん達には柏本校サロンでよくお話しするのですが、舞茸に限らずきのこ類の多糖類には抗腫瘍作用を持つものが多いです。
特に舞茸に含まれるβ-グルカンという多糖類は、身体の中に出来てしまった変異細胞をいち早く見つけて取り除く「NK(ナチュラルキラー)細胞」という白血球免疫細胞の一種を活性化させると現代医学の研究者たちに考えられてきました。
ですからインターネットで調べると、舞茸の科学的な研究論文が多いのです。
しかしその一方で、舞茸から抽出された成分の様々な効果効能を謳う健康食やサプリの喧伝もかなりあるので、お値段に中身が見合っているか品質に問題はないか注意が必要だと思います。
わたくしは以前、香港からの帰りに空港のドラッグストアで売り場のお姉さんから勧められ、ホットフラッシュなど更年期障害に効く、あたかも更年期女子の万能薬のような説明を受けて、100%植物由来だという”天然のフランス製のサプリ”を買ってしまったことがあります。
やたら大きくてきれいな赤いパッケージを空けると、その中から外側の包装に比べるとなんだか安っぽい白いプラスチックのボトルが出てきました。
ボトルを空けてみたら白いカプセル剤が入っています。
そのカプセル自体は飲みたくないなと思ったので、カプセルを空けて中身のパウダーを調べたら、どう考えても日干し舞茸の粉末でした(笑)!例の日干し舞茸の素晴らしい香りなのでこれはすぐに分かったのです。
もったいないので、お湯で溶いて飲んでみたらどう考えても美味しい舞茸スープの味。
空港で香港ドルが少し手元に残っていたので、言葉巧みなセールスのお姉さんにつられて買ってしまったのですが、おうちに帰ってからこれは失敗したと思いました。
でもいい勉強になりましたので、皆さんは真似をしないでくださいね💦
舞茸はどちらかというと免疫ハーブで、更年期障害の自律神経の失調まで整えるような効果効能を謳って売ろうとしたあのセールスのお姉さんは何だったのか、今でも謎で反省しています。
では、話を舞茸の科学的なエビデンス(論拠)をリサーチに戻します。
すると、1990年に神戸女子医科大学(現神戸医科大学)微生物学教室が学会発表した共同研究の概要が出てきました。
インターネットで出典が明らかにされて、論文の概要がしっかり公表されているのでリサーチに助かります。
ここには舞茸の熱水抽出物を経口投与する実験で、キラーT細胞が活性されたり、インターロイキン(免疫伝達物質)が作られて、腫瘍の増殖を抑える反応が起こっている可能性が書かれています。
出典が、『CHEMOTHERAPY 38(8), 790-796, 1990』公益社団法人 日本化学療法学会となっていますから、30年も前の学術研究論文です。
考えてみたらわたくしが、1989年からアメリカに中国研究で学部留学していた頃です!
学校の宿題の小論文を書くのに、アップル社のマッキントッシュ・クラシックのデスクトップパソコンで英文ワープロソフトを使うのにフロッピーディスクを持って、コンピュータールームにわざわざ出向いていた時代。
そして短い論文の課題を提出するにも論拠となる出典を必ず末尾に記載しなくてはならず、大学の中の図書館でのリサーチがとても大変でした。
広いキャンパスを駆け抜けて図書館のある建物に通い、文献を探して書籍がなくて、雑誌掲載の学術論文だった場合、マイクロフィッシュというガラスのスライドみたいなものに小さな文字で記録されていることが多かったのです。
それを顕微鏡みたいな機械の上に置いて、光を当てて拡大して学術論文や雑誌の記事を読むのですが、乗り物酔いのように吐きそうで気持が悪くなるのですよ。。。
そんな懐かしい昔の学生時代を思い出しました。
インターネットの情報は玉石混交ですが、こんな風に学術論文の出典を世界中から瞬時に探し出せるようになった現代社会が夢のようです。
その後も舞茸の医学的な研究は続いていて、例えば2004年のマウスの骨髄を使った研究論文では、舞茸のβ‐グルカンから抽出したMD-フラクション®(後述するD-フラクションの商標名)が、抗がん剤の毒性を抑えて白血球免疫細胞や造血の活性化に関わる骨髄の形成を促したことが報告されています。
舞茸はこうした学術研究が今も進められている一方、食品ではありながら特定の植物化学成分を高濃度に抽出した高価な健康食品も売られています。
わたくしが香港で買ってしまったような舞茸サプリとはだいぶ違うようです。
舞茸から特定の生理機能成分を抽出して医療の実験に使う記事はいくつか読んだのですが、人工的に高濃度に生成した物質をサプリで毎日摂っても大丈夫かはよく分かりません。
中医学の先人の医家のひとり、唐の時代の孫思邈(そんしばく)は、「まず食事で治療を試みて、それから薬を処方するのが良いお医者様だ。」と述べています。
同じように薬膳ライフでも健康を守るには、フードセラピーを中心に食事・運動・休養を心がけるのがまず基本と考えています。
それでも不足であれば、または医療従事者の指示があれば、栄養補助食品やお薬や臨床で摂ることはあるかもしれません。
でも、例えば舞茸のように身近に手に入りやすい薬膳素材やその使い方を知って、普段の生活の中でまず自分で上手にセルフメディケーションを優先的に行ってみるのも一考です。
こうした科学的なエビデンスがしっかりしている薬膳素材のインフォメーションが皆さんの薬膳ライフそして未来の健美活のお役に立てば幸いです。
生活習慣病・骨粗鬆症予防にも働く「舞茸」のパワー
さらに舞茸からは、先に研究論文で例に挙げた神戸医科大学の微生物科学研究室の難波宏彰教授が抽出量産に成功したD-フラクションやX-フラクションという生理機能成分が注目されているようです。
これらの成分を使った健康食品の情報も書籍やインターネットでリサーチしていたら出てきました。
恐らくこうしたサプリの商品は、生の舞茸を料理して食べるのよりも大量に摂ることになるので、薬膳フードセラピーで同じ効果が発現するとは限りませんが参考に記載しておきますね。
それ以外にももちろん、3大栄養素や非栄養素のビタミン・ミネラル・食物繊維を含んでいますが、炭水化物・タンパク質・脂質の3大栄養素はとても少ないです。
がん予防や生活習慣病の予防や骨粗鬆症の予防に役立つのは、その他のビタミン・ミネラル・食物繊維・生理機能成分です。
◎がんの予防
D-フラクション・X-フラクションが免疫機能を強めてがんを抑制します。
β-グルカンが白血球免疫細胞を賦活(ふかつ・活発に)して発がんを抑制します。
食物繊維が整腸作用を促進して腸管から大腸がんの原因となる老廃物を取り除きます。
◎生活習慣病の予防
X-フラクションがコレステロールを作る酵素の働きを抑制するので、高血圧や動脈硬化や脳梗塞や心筋梗塞など、循環器系の生活習慣病の疾患を予防する働きがあります。
X-フラクションがインスリンの分泌を正常に保つので糖尿病の予防に働きます。
◎骨粗鬆症の予防
骨の形成に必要なカルシウムの吸収に関与するビタミンDを含むので骨粗鬆症を予防します。但し、骨粗鬆症の予防に舞茸を使いたいならば、ご紹介したような天日干しでビタミンDの量を増やしてから利用するのがお勧めです。
文部省の食品成分データベースで生の舞茸と乾の舞茸の成分の比較データを出してみたのですが、ここでいう「乾」は天日干しではなく、人工的に水分を除いて乾燥させた商品のようです。
100gの生の舞茸のビタミンDは、4.9㎍なのですが、同量の乾の舞茸は、19.8㎍しかないのです。先にお見せしたとおり乾燥させた舞茸は1/10のかさになります、乾燥舞茸100gにこれしかビタミンDが入っていないとすると、減少していることになるからです。
◎その他の働き シミ・ソバカスの予防
皮膚にメラニン色素が出来るのを防ぐチロシナーゼ阻害物質を含むので、シミ・ソバカスを防いで美肌に働く効果があります。
◎その他の働き 浮腫みの改善
身体の中の細胞内液に存在して水分バランスの調整に関わっているカリウムを330mg(生・可食部・100g当たり)含んでいます。
参考文献:『食材健康大辞典』監修 五明紀春 時事通信社
ここまでは、現代医学や現代生理学や現代栄養学の視点から舞茸を見てきましたが、最後に中医薬膳学的な働きもご紹介して締めくくらせて頂きます。
営養補給系 補気類 「舞茸」 五臓(肝心脾肺腎)を元気に
舞茸は栄養補給系の補気類(ほきるい)に分類されている薬膳素材で、身体の中に気(生体エネルギー)を補給する菌類です。
「ナチュラル薬膳生活における薬膳素材の分類体系」は、「体温調節系」「営養補給系」「デトックス系」「機能調節系」の4つに分かれています(『ナチュラル薬膳生活入門編』p.21)。
舞茸は薬膳素材の大きな体系のくくりの中で「営養補給系」に属します。
このようにナチュラル薬膳生活文化普及協会は、薬膳フードセラピーの暮らしを始める皆さんが薬膳素材を理解しやすいように独自の分類体系を設けて、ナチュラル薬膳生活専門家養成コースの公式テキストの「薬膳素材辞典」に収載しています。
補気類というのは、食べ物から身体の中に気(エネルギー)を補給する薬膳素材の分類です。
「補気(ほき)」というのは、もともと中国伝統医学(中医学)で使う用語です。
気(生体エネルギー)は精神や身体の機能を正常に保つのに必要な”物質”で、目に見えないけれど常に体内をすごいスピードで巡って、私たちの生命活動を支えている元気のモトです。
ですから、気が体内に充実していると心も身体もエネルギッシュで元気です。
それから薬膳素材には、体温に対して働きかけるか否か、どんなお味の性質があるか、五臓六腑のどこに主に働きかけるか、薬膳作りの参考となるよう特徴がひとつひとつ臨床経験の文献で伝えられてきました。
先人の知恵に基づくデータが科学や栄養学で研究されている事例は少なくないのですが、舞茸に関しては気のエネルギー源となる炭水化物はそれほど多くなく、低カロリーの食べ物です。
ですから、舞茸自体が気(エネルギー)を補給するというより、すでにご紹介したような生体を蝕む内側や外側の敵から「免疫力という気」で、わたくしたちの健康を守るパワーを持つというように解釈するとよいように思います。
また、糖質を代謝してエネルギーを作るのに必要なビタミンB1を含むので、間接的に気を補給するの貢献する薬膳素材という風に捉えてもよいかと思います。
舞茸 中医薬膳学な特徴と働き
◎体温に対する作用は、身体をやや温める「微温」の性質です。
◎味性は、身体を滋養する甘味です。
◎消化器系統の脾を元気にする働きがあります。
◎中医学的に言う五臓(肝・心・脾・肺・腎)全てに働きかけます。
中医学でいう臓器の働きの解釈は現代医学と同じではなく機能全体を重視します。
中医学の専門用語をやさしく言い換えると五臓にはこのような働きがあります。
● 肝は感情や血(けつ)の量をコントロールする働きなどを担います。
● 心は血を作ったり精神状態の安定などに関わります。
● 脾は消化吸収のほか、水分の代謝などに関わります。
● 肺は呼吸器のほか、水分の代謝などに関わります。
● 腎は若々しさのモトを貯えているほか、水分の代謝などに関わります。
では、人生を200%味わい尽くしたいオトナ女性の美と健康に!「ナチュラル薬膳生活®(薬膳ライフ)」をどうぞお役立てください。
営養補給系 補気類 舞茸 *体温への作用・味の性質・臓腑への働きかけ・作用* 微温 甘 脾 補益五臓 補気 *栄養素・生理機能成分* ビタミンD ビタミンB1 カリウム チロシナーゼ阻害物質 β-グルカン D-フラクション X-フラクション 食物繊維 |
須崎桂子
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