こんにちは。
ナチュラル薬膳生活文化普及協会理事長、薬膳ライフコーチ須崎桂子けいてぃーです♪
これまで薬剤師、看護師、料理教室の先生、エステティシャン、薬膳の専門家になりたい大人女性のみなさんに、本格的な薬膳コースをオリジナルテキストで十数年教え続けてきた実績を持っています。
薬膳ライフを豊かにする【魂のごちそう薬膳素材】を自ら執筆した薬膳公式テキストからやさしく紐解いてお届けするシリーズ。
子年の年明けを祝う日本酒のたる酒を前に新年のご挨拶を致しましたので、今年最初は【魂のごちそう薬膳素材】から「日本酒(穀物由来のお酒)」のお話しをピックアップします。
たる酒の前でにっこりしていますが、実は昨年の後半から無理に禁酒をせずにほとんどお酒を飲まなくなりました。
でも和食薬膳を作るときはもちろん日本酒を料理に使うこともありますから、薬膳作りの観点から動画でお話ししています。
※動画を見られない環境にいらしたり、お話しで出てくる中国伝統医学(中医学)や薬膳学の専門用語の漢字や読み方を確認したいときは、文章で続きをお読み頂けます。
デトックス系 去湿類 「日本酒」(穀物由来のお酒)
日本酒はデトックス系の去湿類(きょしつるい)に分類されている薬膳素材ですが、穀物由来のお酒として記載されています。
「ナチュラル薬膳生活における薬膳素材の分類体系」は、「体温調節系」「営養補給系」「デトックス系」「機能調節系」の4つに分かれています(『ナチュラル薬膳生活入門編』p.21)。
日本酒は薬膳素材の大きな体系のくくりの中で「デトックス系」。つまり、何らかの方法で身体の中にたまった毒素を取り除く働きを持つ系統に含まれているというわけです。
このようにナチュラル薬膳生活文化普及協会は、薬膳フードセラピーの暮らしを始める皆さんが薬膳素材を理解しやすいように独自の分類体系を設けて、ナチュラル薬膳生活専門家養成コースの公式テキストの「薬膳素材辞典」に収載しています。
【魂のごちそう薬膳素材】が暮らしに薬膳フードセラピーを取り入れて、人生を200%健やかに充実させたい皆さんのお役に立てば幸いです。
去湿類というのは、身体の中に溜まった「湿(しつ)」を取り除く薬膳素材の分類です。
もともと中国伝統医学(中医学)の診断学で使う用語です。
湿は身体の中に溜まった水毒の病的な産物で、関節や頭部などいたる所に霧のように散在して、痛みや浮腫みや重だるい不快感を引き起こします。
ですから日本酒は適量を薬膳作りに活用すれば、湿を取り除くのに役立つというワケです。
それから薬膳素材には、体温に対して働きかけるか否か、どんなお味の性質があるか、五臓六腑のどこに主に働きかけるか、薬膳作りの参考となるよう特徴がひとつひとつ臨床経験の文献で伝えられてきました。
現代は先人の知恵に基づくデータが科学や栄養学で研究されている事例は少なくありません。
酒(穀物由来)の働きを中医薬膳学で見てみると・・・
◎体温に対する作用は、身体を温める「温」の性質があります。
◎味性は、解毒する苦味・滋養する甘味・循環を高める辛味を持ちます。
◎中医内科学でいう解毒を担う肝・全身にポンプのように血(けつ)を送り出す心・呼吸器系統の肺・消化器系統の胃に働きかけます。
酒(穀物由来)中医薬膳学的な働きは・・・
◎リウマチなどを引き起こす身体の関節などに溜まった風湿(ふうしつ)と呼ばれる水毒を取り除きます。「去風湿(きょふうしつ)」は風湿を取り除く意味です。
◎気(生体エネルギー)や血(けつ・わたくし達の身体を滋養している赤い液体)の巡りを改善します。気の巡りを良くすることを「理気(りき)」、そして血の巡りを良くすることを「活血(かっけつ)」といいます。
◎身体の中に生じた寒(かん・冷えを生む元凶)を取り除く「散寒(さんかん)」の働きがあります。
◎寒のせいで気血の流れが悪くなって生じた痛みを取り除く「止痛」の働きがあります。
酒(穀物由来)禁忌・注意は、
◎アルコールを含むので使い過ぎに注意が必要ですし、アルコール代謝酵素のない方や子供さんにはもちろん禁忌です。
◎アルコールの甘味は摂りすぎるとかえって湿を呼ぶので、去湿どころか逆効果になりかねないので注意が必要です。
◎高血圧の方、糖尿病の方、肝炎の方、心臓病の方も避けたほうがよいでしょう。
但し、薬膳作りに少量を加熱調理でアルコールを飛ばして使うのでしたら、ご紹介した血行を促進したり、冷え症を緩和したりする働きを活用できます。
日本酒は自然発酵で生まれた各種アミノ酸 (グルタミン酸 アラニン ロイシン イソロイシン バリン アルギニン)を含むので、消化吸収を助けてお料理をおいしくします。
家庭薬膳の愛妻弁当に「日本酒」(穀物由来のお酒)を活用
実はちょうど昨日の新年最初の愛妻弁当に、身体を温めて血行を促進するこんな家庭薬膳のお弁当を作った際に、日本酒を活用しました。
珍しい活血化瘀類(かっけつかおるい・血の巡りを良くする薬膳素材の分類)の「姜黄(きょうおう)」が生で手に入ったので、身体を温める温裏類(おんりるい)の韮(にら)と、補陽類(ほようるい)の海老を姜黄で炒め合わせた家庭薬膳の一品。
「姜黄(きょうおう)」は日本では「うこん(秋うこん)」といわれていますが、薬膳学では正確姜黄といいます。姜黄はカレー粉に入っているターメリックと同じです。
専門的な中薬学でいう中国の「うこん」(冷やして血行促進)と、日本でいう「うこん」(温めて血行促進する姜黄)は働き方が違うので、詳しくは以下の動画をご参照ください。
温めて血行を良くする薬膳「韮と縛海老の姜黄炒め」は、家族がとてもおいしかったと喜んでいました。
そこで、中国のうこんと日本のうこん(姜黄)の違いや薬膳レシピに使った薬膳素材の働きのお話しとともに動画で収録した次第です。
「韮と芝海老の姜黄炒め」の仕上げに日本酒を加えたことを語っている部分は6:22あたりで出てきます。ご興味がございましたら家庭薬膳作りのご参考にどうぞご覧ください。
生の姜黄がなければ、日本酒を加える前にターメリックパウダーを1mlくらい加えて炒めて代用なさるとよいでしょう。同じく温めて血行を促進する働きが期待できます。
【魂のごちそう薬膳素材】のお話しが、皆さまの健やかな薬膳ライフのお役に立てば幸いです。酒(穀物由来)については、薬膳講師が執筆した公式テキストにてご参照頂けます。
デトックス系 去湿類 酒(穀物由来)~日本酒
体温への作用・味の性質・臓腑への働きかけ・作用
温 苦甘辛 肝心肺胃
去風湿 理気活血 散寒止痛
禁忌・注意:多用・高血圧・糖尿病・肝炎・心臓病
参考文献
『ナチュラル薬膳生活入門編』 p.162
【前期】コーディネーター養成コース 公式テキスト
『ナチュラル薬膳生活応用編』 p.149
【後期】アドバイザー養成コース 公式テキスト
須崎桂子
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