こんにちは。

ナチュラル薬膳生活文化普及協会理事長、薬膳ライフコーチ須崎桂子けいてぃーです♪

 

これまで薬剤師、看護師、料理教室の先生、エステティシャン、薬膳の専門家になりたい大人女性のみなさんに、本格的な薬膳コースをオリジナルテキストで十数年教え続けてきた実績を持っています。

 

ハーブ薬膳茶と須崎桂子

 

今日は2年前にウェブサイトで公開していた「免疫力アップに ブロッコリーの薬膳ポーク巻き」について、「塩足さなくて・・・本当に美味しかったです✨」と、一般の方から嬉しい感謝のお声を頂きました。

 

こうしたお声を頂くと、長く薬膳の先生をしていて本当によかったなぁと歓びが胸に湧きあがってきます。

 

もともと、ブロッコリーに含まれるイオウ化合物に抗がん作用が期待できることから、「がんにならないように免疫力アップ」を主な薬膳の目的に記載していました。

 

♣免疫力アップの薬膳ブロッコリーの無塩ポーク巻きにナイフを入れたところ。

 

ところが、わたくしの薬膳レシピを作ってコメントをくださった方のハートには、「塩を足さなくて・・・本当に美味しかった」のが刺さったそうで、それはそれでもちろん大変嬉しいことでした。

 

そこで、2020年1月16日のおいしいブログに書いた「無塩でも美味しいの?生活習慣病を予防する薬膳ライフ」や、その伏線で前日の1月15に書いた「【魂のごちそう薬膳素材】苺の活用法。肌を潤す大人女性の健美活!」にとても関係が深い「塩を使わない美味しい薬膳レシピ」の話題をお届いたします。

 

塩足さなくていいのかなと思っていました。

 

正直にいいますと、「ブロッコリーの薬膳ポーク巻き」の薬膳レシピはだいぶ前に作ってウェブ公開していました。そのときはブロッコリーの持つ「免疫システム」への作用を活かす薬膳を目的にしていたため、調味の際に塩分を加えていたかどうか、あまりよく覚えていませんでした。

 

ウェブ公開サイトに補足説明としてお塩を入れないで仕上げたワケを説明していたものの、メニュー名には「塩を使わない薬膳レシピ」という点は強調しないで、「免疫力アップに」をタイトルに冠していた次第です。

 

ですから、「塩足さなくていいのかな・・・」とレシピ公開サイトに、「ミヤビ―さま」という一般の方からコメントを頂いて、とても嬉しいおどろきでした。

 

しかもご自身が作ってみてくださったお写真付きで!

 

「塩足さなくていいのかなと思っていましたが、本当にほんのり塩味がして、そのまま食べれました✨パプリカの甘さと、レモンの酸味で、豚ロースですが、さっぱり食べれました✨味がほんのりなので、ゆっくり味わいながら食べるのがいいかなと思いました✨本当に美味しかったです✨」

 

わたくしからはご連絡を頂かない限り、10年以上コツコツと作り上げてきたナチュラル薬膳生活(薬膳ライフ)のウェブ公開情報が、一般の方にどう届いているのかまったく分かりません。

 

ですから何年も経ってから、自分が後世のために遺してきた先人の知恵のバトンタッチを実践して、しかもコメントだけでなく、お写真までくださることは本当に稀なことなのでとても励みになりました。

 

そして、コメントを写真付きで頂けたこと以上に感慨深かったのは、わたくしの家庭薬膳レシピを通じてミヤビ―さまが薬膳素材の自然の味わいをそのまま、じっくりと堪能してくださったことです。

 

パプリカ、レモン、豚肉・・・こうした身近な薬膳素材たちの味わいが絡み合って、心と身体に伝わってくる様(さま)を、ミヤビ―さまが素朴な心で沁み入るように受け止めていらしたことが、コメントの文章から手に取るように伝わって参りました。

 

塩を使わない最近公開の薬膳レシピとしては、先月の1月29日に動画公開した「薬膳お役立ち情報。苺と豚肉で無塩高血圧ケアの薬膳~鶏むね肉の白ワイン蒸しストロベリージンジャーソース」があります。

 

鶏むね肉にもともと含まれている塩味を活かして、塩で調味せずに仕上げました。

 

しかしこの「塩を使わない薬膳レシピ」も、1月15日のブログで「【魂のごちそう薬膳素材】苺の活用法。肌を潤す大人女性の健美活!」に書いた通り、もとは美肌の薬膳を目的にしていたのです。

 

とにかく塩を加えずに作ってみたらセレンディピティに美味しかったですし、高血圧ケアにもつながる調理法なので、生活習慣病予防に役立つヘルシーでおいしい無塩の薬膳レシピとしてご紹介しました。

 

以下は1月15日に美肌でブログを書いた後で作った動画レシピです。よろしければご参考にどうぞ。

 

 

 

豚肉にも鶏むね肉と同じように、かすかなナトリウムの塩味があります。

 

中国伝統医学(中医学)の営養学(中国語で栄養学を営養学といいます。)では、薬膳素材となる食物には六味あると考えられていて、それぞれの味に特有の性質があって、それが食べた後に身体に何らかの作用を及ぼすとみなします。

 

豚肉には「鹹(かん)」という塩味の性質があって、適度に摂れば身体を滋養すると考えられていています。それは化学的に合成されたきつい塩化ナトリウム(NaCl)の味ではなく、雑味を含んだ自然でマイルドなしょっぱい味を意味します。

 

「皮なしの鶏むね肉」には、ナトリウムが34mg(生・可食部・100g当たり)含まれています。

 

「豚ロース肉」には、「皮なしの鶏むね肉」よりさらに多いナトリウムが54mg(生・可食部・100g当たり)含まれています。ですから、塩を使わなくても、よりはっきりと自然のお肉が持っている塩味(鹹味)が舌のうえで広がります。

 

参考データ: 「文部科学省食品成分データベース

 

こうした薬膳素材自体が持っている味の性質を、ミヤビ―さまのようにじっくりゆっくり味わって堪能してみてくださいね。

 

現代社会は慌ただしいですが、たまにはこうして【魂のごちそう薬膳ライフ】を過ごすようになれば、濃い味つけや刺激の強い香辛料に頼りすぎずに、健やかな食生活を心豊かに楽しめるようになります。

 

但し、塩分の必要な量は食べる人の年代や体質や季節で変わりますので、杓子定規(しゃくしじょうぎ)にとらえないでくださいね。

 

特に夏場は発汗で塩分が身体の外に汗と一緒に出てしまうので適宜、塩分の摂取が必要です。

 

しかし塩の精製が困難だった昔とは違って、現代社会の食生活ではありとあらゆる、加工食品・調味料・テイクアウトのお弁当・外食メニュー・市販の袋入りのお菓子に塩分が入っています。

 

わたくし達は、塩分のほとんどであるナトリウムが簡単に身体の中に塩分が入って来る生活をしているので、本来の身体が必要としている分量を簡単に超えてしまうのです。

 

ナトリウムの過剰摂取は現代社会で、高血圧といった生活習慣病の原因となりここ最近は医療に関わる社会保障費用を増大させる大きな社会問題となっています。

 

ですから、塩分が絶対に誰でもかれでもどんな季節でも、ダメ・ダメ・ダメと言っているわけではありません

 

おいしくムリなく減塩する必要がある方へ塩を使わなくても美味しい薬膳レシピ」としてご紹介しているワケなので、この点を理解して高血圧気味の大人女性の薬膳ライフにご活用頂ければ幸いです。

 

高血圧ケアの薬膳 塩を使わないブロッコリーのポーク巻き

 

薬膳ライフでは、下ごしらえも含めて調理するたび、食材を塩もみしたり、塩ゆでしたりするプロセスをなるべく無塩でおいしくできないか、普段から気をつけて生活しています。

 

すると無意識のうちに減塩に役立つ薬膳フードセラピーが誕生する場合があります。

 

塩を使わない薬膳「ブロッコリーの薬膳ポーク巻き」もそうでした。

 

♣免疫力アップの薬膳ブロッコリーの無塩ポーク巻き(「塩を使わない薬膳」なのもポイント!)

 

味付けに使ったのは、豚肉の「鹹味(かんみ)」、レモンや白ワインの「酸味」、パプリカの「甘味」、生姜汁の「辛味」・・・

 

こうしたさりげない薬膳ライフの知恵が皆さんのお身体だけでなく、生活を心豊かに彩るお役に立てば嬉しいです。

 

【薬膳レシピ】塩を使わないブロッコリーの薬膳ポーク巻き

【テーマ】高血圧症を予防する薬膳フードセラピー

【食養生の手法】舌の減塩トレーニング 塩を入れず豚肉そのものの塩味を味わう

【材料(4人分)】

 
小房に分けた茹でブロッコリー 1個分
豚ロース肉薄切り 12枚
パプリカの千切り 15g
レモンのいちょう切り 10g
白ワイン 小2
生姜汁 小2
オリーブオイル 大1

 【作り方】

①豚肉に白ワインと生姜汁をかける。
②よく揉みこんで15分マリネします。よく揉みこんで15分マリネする。

③キッチンペパーに豚肉を広げ、ブロッコリーを包む。
④フライパンにオリーブオイルを入れて熱し、綴じ目を下にしてポーク巻きを並べて、程よい焦げ目がつくよう、強火で焼く。
⑤ポーク巻きの片面が焼けて、フライパンからはがれやすくなったら、火を弱めてくるくる回しながら全体を焼く。
⑥ポーク巻きに火が通るよう、弱火にしてふたをかけ、3分程度蒸し焼く。
⑦焼きあがったら器に盛り、残ったブロッコリー、パプリカ、レモンをあしらう。

♣同じ薬膳レシピのまま、がん予防から高血圧症を予防するのにも応用が利く(「塩を使わない薬膳」なのがポイント!)

塩を足さなくても美味しい!豚肉そのものの塩味(鹹味)を感じる繊細な味覚を養うためにどうぞゆっくりと味わいながら召し上がってみてください。

♣免疫力アップの薬膳ブロッコリーの無塩ポーク巻きにナイフを入れたところ。

 

補陰類の豚肉(ぶたにく)については以下「魂のごちそう薬膳素材♪豚肉」動画レッスンも併せてご参照ください。

 

  

 ※動画を見られない環境にいらしたり、お話しで出てくる中国伝統医学(中医学)や薬膳学の専門用語の漢字や読み方を確認したいときは、文章で続きをお読み頂けます。

 

営養補給系 補陰類 「豚肉」 素材の塩味で潤して

 

豚肉は栄養補給系の補陰類(ほいんるい)に分類されている薬膳素材で、身体に潤いを補給する肉類です。

 

「ナチュラル薬膳生活における薬膳素材の分類体系」は、「体温調節系」「営養補給系」「デトックス系」「機能調節系」の4つに分かれています(『ナチュラル薬膳生活入門編』p.21)。

 

豚肉は薬膳素材の大きな体系のくくりの中で「営養補給系」に属します。

 

このようにナチュラル薬膳生活文化普及協会は、薬膳フードセラピーの暮らしを始める皆さんが薬膳素材を理解しやすいように独自の分類体系を設けて、ナチュラル薬膳生活専門家養成コースの公式テキストの「薬膳素材辞典」に収載しています。

 

「補陰(ほいん)」というのは、もともと中国伝統医学(中医学)で使う用語です。

 

陰(体液全般のこと)は血(けつ・現代生理学でいう血液のこと。)はもちろん、細胞間質液(現代生理学でいう細胞を満たしている液体のこと。)や内分泌液のホルモンなど、私たちの身体を潤して呼吸や消化などを潤滑に促して生命活動を支えています。

 

そして、身体をほどよい体温に冷まして恒常性(ホメオスタシス)を保っています。

 

ですから、体内の陰が何らかの原因で足りなくなってしまうと、潤って良く働く呼吸器や消化器系統の働きに支障が出たり、身体が異様に熱くなるホットフラッシュが起こったりします。

 

補陰類はそんな症状を体液を満たすことで改善してくれるのです。

 

ですから、補陰類の更年期世代で女性ホルモンが減少してくることでホットフラッシュが起こったり、肌が乾燥したり、血が足りなくて貧血を起こしたりしやすい大人女性の健美活におススメです。

 

それから薬膳素材には、体温に対して働きかけるか否か、どんなお味の性質があるか、五臓六腑のどこに主に働きかけるか、薬膳作りの参考となるよう特徴がひとつひとつ臨床経験の文献で伝えられてきました。

 

先に触れた豚肉に含まれるしょっぱい鹹味(かんみ)も、身体を滋養するこうした味の性質のひとつです。

 

現代は先人の知恵に基づくデータが科学や栄養学で研究されている事例は少なくありません。

 

豚肉 中医薬膳学な特徴と働き

 

◎体温に対する作用は、身体を温めもしない冷ましもしない「」の性質です。

 

◎味性は、身体を滋養する甘味と、体内を潤す鹹味です。

 

◎中医内科学的な臓腑の解釈で、消化器系統のの働きを助けてを若々しさのモトで潤します。

 

◎すでにお話ししたように、身体を陰と呼ばれる潤いで満たして乾燥を改善する「補陰潤燥(ほいんじゅんそう)」という作用があります。

 

◎気(生体エネルギー)を補給する「補気(ほき)」と血(けつ・身体を滋養している赤い液体。血液のこと。)を補給する「補血(ほけつ)」という作用があります。

 

◎若しさのモトを貯えている腎を滋養する「補腎(ほじん)」という作用があります。

 

豚肉 現代栄養学的な働き

 

◎細胞組織をしなやかに結びつけたり血管壁を丈夫にするコラーゲンや、血の材料となるヘム鉄やビタミンB12を含んでいます。

 

これが補陰潤燥(ほいんじゅんそう)」や「補血(ほけつ)」作用に関与するのだと思われます。

 

◎エネルギー代謝に必要なビタミンB1やビタミンB₂を含むので、身体の中に入ってきた糖質、たんぱく質、脂質を速やかにエネルギー変換するサポートをします。

 

ですから、消化吸収を担う中医内科学的な臓器「脾(ひ))」や「胃(い)」の働きを助けて、生体エネルギーを生み出す「補気(ほき)」の働きがあるのだと考えられます。

 

◎成長ホルモンに関わる非必須アミノ酸のアルギニンなどを含んでいます。

 

こうした栄養素が、腎に若々しさのモトを補充するのに関与していることが考えられます。

 

豚肉については、薬膳講師が自ら執筆した公式テキストでもご参照頂けます。

 

人生を200%味わい尽くしたい大人女性の健美活に!「ナチュラル薬膳生活®(薬膳ライフ)」をどうぞお役立てください。

営養補給系 補陰類 豚肉

*体温への作用・味の性質・臓腑への働きかけ・作用*

平 甘鹹 脾腎胃

補陰潤燥 補気補血 補腎

*栄養素・生理機能成分*

たんぱく質 脂質 ヘム鉄 ナトリウム

飽和脂肪酸 不飽和脂肪酸(リノール酸など)

ビタミンB₁ ビタミンB₂ 

   

参考文献

『ナチュラル薬膳生活入門編』 p.121
【前期】コーディネーター養成コース 公式テキスト

『ナチュラル薬膳生活応用編』 p.139
【後期】アドバイザー養成コース 公式テキスト

薬膳を深めて家庭や仕事で活かしたい方に、中医学理論で組み立てる本格的な薬膳実践コースを開講しています。

【基礎】薬膳実践コースへ入学をご検討の方に、薬膳体験パーソナルレッスンを実施しています。

薬膳ライフコーチ須崎桂子けいてぃーが、心・体・魂が整う薬膳生活メルマガをお届けしています。

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病気の家族や自分に食事療法を出来ず悩んでいたとき、薬膳と出会い、中医学の食事療法を知り学ぶ。しかし健康には食事だけでなく、適度な運動や休養も必要なのに気づく。抽象的な伝統医学に現代の生理学や栄養学を掛け合わせ、ライフスタイル医学の暮らし方「ナチュラル薬膳生活Ⓡ」を考案。2008年にナチュラル薬膳生活文化普及協会を設立して、心・体・魂を整える薬膳フードセラピーの暮らし方を社会に広め続けている。