こんにちは。

ナチュラル薬膳生活文化普及協会理事長、薬膳ライフコーチ須崎桂子けいてぃーです♪

 

これまで薬剤師、看護師、料理教室の先生、エステティシャン、薬膳の専門家になりたい大人女性のみなさんに、本格的な薬膳コースをオリジナルテキストで十数年教え続けてきた実績を持っています。

 

ハーブ薬膳茶と須崎桂子

ナチュラル薬膳生活における醤(ひしお)

発酵教室で学んだ醤をナチュラル薬膳生活に活かし始めた、専門家養成コースの生徒さんから、薬膳レシピ開発の宿題について、以下のようなご質問を頂きました。

自立&自律の精神で、まずは自分でやってみたり考えてみたりする・・・、実践と理論の両輪に支えられた素晴らしいアプローチですね。

ですので、ここで皆さんと一緒に考察してみたいと思います。

♣けいてぃーの醤もだいぶ発酵が進みました。

醤の性味(四気五味)について教えてください

けいてぃー先生こんにちは。

夏の季節薬膳レシピを考案する課題に取り組みながら、醤を調味料として使いました。

薬膳素材として醤の性味(四気五味)をどうとらえるべきか悩んだので、ご相談させてください。

♣暑熱を冷ます「ひじきとこんにゃくの白和え」(生徒さんの作品)

「ひしおの糀」は、大豆と大麦の麹となっていたので、薬膳素材として大豆・大麦・醤油の働きを『ナチュラル薬膳生活入門編』で調べてみました。

薬膳素材 分類 四気 五味 帰経 主な作用
 大豆 去湿類   平  甘  脾 胃 大腸  利水 健脾養胃 潤燥
 大麦 清熱類   涼  甘鹹  脾 胃  清熱和中 利水止瀉
 醤油 清熱類   寒  鹹  脾 腎 胃  清熱除煩 涼血解毒

 これに基づいて醤は、四気:寒、五味:甘鹹、帰経:脾胃腎大腸、作用:清熱除煩 涼血解毒 利水止瀉 健脾和胃 潤燥 かなと考えたのですが、どうでしょうか?

ことこと三木さんイチオシ生産者さんの「ひしおの糀」。

 

醤は李時珍著『本草綱目』と『入門編』の醤油で解釈

 

さて、けいてぃーは醤をどうとらえたでしょうか?

ナチュラル薬膳生活では、李時珍さんの『本草綱目』原著をリサーチして、古代中国の醤が日本の醤油のルーツであることを踏まえ、このように解釈することにしました。

薬膳素材 分類 四気 五味 帰経 主な作用
 醤油 清熱類   寒  鹹  脾 腎 胃  清熱除煩 涼血解毒
 醤 清熱類   鹹  脾 腎 胃  清熱除煩 解毒

ナチュラル薬膳生活における「薬膳素材の分類」は、現代に入ってから出版された日本や中国の参考文献をもとに、ナチュラル薬膳生活文化普及協会が分類と整理を行ったうえで、『ナチュラル薬膳生活入門編』で公開しています。

参考文献については、同著の277~278ページに記載されています。

ナチュラル薬膳生活入門編』の薬膳素材の分類に醤が収載されておらず、生徒さんからこうした質問を受けたので、『ナチュラル薬膳生活応用編』には追補したいと思います。

大豆や大麦のたんぱく質は、糀(麹菌)の分解酵素で発酵して醤や醤油に熟成すると、グルタミン酸などのアミノ酸や、旨味のモトのペプチドに変わります。

ですから、醤の原料の大豆や大麦を薬膳素材としてとらえたときに、これらの作用はもはや同じではありません。

醤を毎日手で混ぜ返しながら観察していますが、これはもう醤油を作る工程で出来る「もろみ」とほぼ同じとしか言いようのないシロモノ。

そこでナチュラル薬膳生活の分類では、基本的に醤を醤油に準ずることにしました。

実は明の李時珍さんの『本草綱目』には、醤や酢など発酵調味料が収載されています。

上海の中医学専門書店で手に入れた『本草綱目』簡体字版も、せっかくですから参考文献として採用することに。

♣簡体字ですが李時珍さんの本草綱目を原書風に。

帰経については明記されていませんでしたが、四気は「冷利」、五味は「鹹」、主治は、「除熱、止煩満、殺一切魚、肉・・・(中略)・・・卵等毒」とありました。

♣醤についてこんな風に書かれています。

ナチュラル薬膳生活のポリシーでは、薬膳の初めてさんが戸惑わないように、中医学の用語が類似した表現であふれないよう統一表記しています。

そこで、四気は「寒」、五味は「鹹」、主な作用は「清熱除熱、解毒」としました。

ご参考になれば幸いです。

最後に余談ですが・・・、醤の【主治】はその続きがけっこうスゴイ。醤は火傷のケアなど外用にも使われていたようです。

なんとお通じのケアにも浣腸で!?


『ナチュラル薬膳生活入門編』
薬膳素材の分類 各論
清熱類 醤油 p.91 参照

『食材健康大辞典』監修 五明紀春 時事通信社
醤油 p.444~445 参照

『金陵本 本草綱目 新校正』李時珍
校正 銭超塵 等
上海科学技術出版社

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病気の家族や自分に食事療法を出来ず悩んでいたとき、薬膳と出会い、中医学の食事療法を知り学ぶ。しかし健康には食事だけでなく、適度な運動や休養も必要なのに気づく。抽象的な伝統医学に現代の生理学や栄養学を掛け合わせ、ライフスタイル医学の暮らし方「ナチュラル薬膳生活Ⓡ」を考案。2008年にナチュラル薬膳生活文化普及協会を設立して、心・体・魂を整える薬膳フードセラピーの暮らし方を社会に広め続けている。