こんにちは。
ナチュラル薬膳生活文化普及協会理事長、薬膳ライフコーチ須崎桂子けいてぃーです♪
これまで薬剤師、看護師、料理教室の先生、エステティシャン、薬膳の専門家になりたい大人女性のみなさんに、本格的な薬膳コースをオリジナルテキストで十数年教え続けてきた実績を持っています。
大人女性の生徒さんから「家族が好きなこってりした食事を一緒に食べると、胃もたれするようになってしまった。」というお悩みを伺いました。
愛するダンナさまがいくつになっても消化力がおとろえず食欲絶好調!
濃い味付けのタレで、じゅうじゅう焼いた韓国風の焼肉や唐辛子たっぷりの辛いキムチ鍋が大好き。
そして、すでに成人に近い大きなお子さん達、または独立したお子さん達と食事をすると、若さ全開で食欲バッチリ。
揚げものやボリューム満点の脂っこい料理を作ったり、外食したりすること多いそうです。
家族との楽しい会話を交えての食事は楽しくて、つい、つられてたくさん食べてしまいがち。
けれども重たい食事であとから胃もたれが出て、ムカムカしてしまうんですよね。。。
こんな切実なお悩みでした。
そこで今回はこんな大人女性の胃もたれの悩みを薬膳の考え方で解決する方法を3つご紹介します。
実は薬膳の経験則だけでは説明があいまいになりやすいので、ナチュラル薬膳生活では現代の生理学や栄養学やメディカルハーブの視点も交えて体調不良を予防ケアしています。
1.胃もたれのメカニズムを現代医学で知り、薬膳で予防する先人の知恵3選。
2.薬膳食材の消食類(しょうしょくるい)をとり入れる。
3.ムリのない程度に調理法と調味料を好みの違う家族と分ける。
4.消化を助けるハーブ薬膳茶を食後に愉しむ。
5.まとめ 大人女性の胃もたれを防ぐ薬膳ライフな食べ方を知って実践。
ではこれから一緒に先人の知恵で胃もたれを予防する食べ方を考えてみましょう。
中医学の先人の知恵には、「慢性的な不調にはまず食事で治療を試みて、それでも治らなかったらお薬を使うのがよいお医者様だ。」と古い医学書に書かれています。
もちろん薬膳の考え方で胃もたれの予防やアフターケアを試みても、症状が重くてなかなか不調が改善しない場合は、必ず医療従事者に診て頂きましょう。
他に隠れた大きな病気がないか客観的に確認して、状況に応じてセルフメディケーションだけに頼りすぎないことも必要な場合があるからです。
胃もたれのメカニズムを現代医学で知り、薬膳で予防する先人の知恵3選。
では、そもそも胃もたれとは何かを中医学と現代医学で考えてみましょう。
そして、その原因をここでは年齢を重ねて消化力が弱っているタイプに絞り、おもに薬膳の考え方で防ぐ方法を3つご紹介しますね。
胃もたれとは?2つのパターン。
胃もたれとは?
一般に胃もたれというのは、お食事を食べたあとに胃のあたりに重い不快な感じが残ることを指します。
ひどい場合は、食べたものが下に降りるどころか、逆に昇ってくるような感覚があるかもしれません。
中医学ではこうした不調を胃気上逆(いきじょうぎゃく)といい、本来下に降りていくはずの胃の気が異常に作用して上に昇るようすを表すのです。
胃より上のほうの胸につかえたような感じを覚えることがあれば、一般的にこれを胸やけと表現することもありますよね。
先に挙げた大人女性からよく耳にする胃もたれの悩みには、以下のような声が多いです。
「脂っこいこってりしたお料理が好きな家族に合わせて食事を摂ると、あとで胃もたれして気持ち悪くなってしまう。」
「以前は平気だったのに年齢を重ねるにつれて脂身の多いお肉や揚げものを食べると、胸やけするようになってしまった。」
かく言う自分も胃腸が脂を分解するチカラが生まれつき弱いのか、大人女性ジェネレーションに入る前から、動物性脂肪の多い料理は苦手でした。
霜降り牛のすきやきや、豚ロース肉を植物性油でさらに揚げたとんかつなどは、おいしいご馳走ですが、お肉のたんぱく質や脂肪分は最初に胃ぶくろで消化をするのに時間がかかります。
そのせいか、食べたあとに胃腸の調子が悪くなって、胃もたれしたりお腹を壊してしまうことが以前から多かったように思います。
もちろん体質は人によって、一人ひとり違いますから、動物性脂肪が多い料理を適度に摂って健康に過ごしている人達もいらっしゃいます。
脂質だってわたくし達が生命を維持するのに必要な栄養素のひとつ。
体質、年代、性別、人種、体調、季節によって、カラダに合う食べものや食べ方は違ってきますので、そのときの自分の胃ぶくろに合う上手な摂り方を選びたいものですね。
残念ながら初期の消化を担う胃の働きが、年齢を重ねるにつれてだんだん衰えてくるので、大人女性に胃もたれが起こりやすいのは自然の摂理。
もちろん、胃もたれの原因にはほかにも「食べ過ぎ」や「ストレス」などさまざまあります。
でも、ここでは家族と同じこってりしたモノを食べると胃もたれする大人女性世代のお悩みが話題の中心。
ですから、胃が消化するチカラが弱くなったせいで起こる胃もたれにフォーカスして、お話しをすすめていきますね。
胃もたれの2パターンで対応は変わる。
ひとくちに胃もたれといっても、胃の中の状況には大きく2つのパターンがあります。
①胃壁が炎症で荒れているパターン
ひとつ目は、消化酵素の胃酸から胃の内壁を守っている胃の粘膜がたりなくて、胃壁が荒れて炎症を起こしている状況。
このパターンの胃もたれなら、胃の粘膜を守ってあげて炎症を鎮める必要があります。
②胃の中の食べ物を送り出せないパターン
ふたつ目は、胃が食べたものをこなすのに必要なぜんどう運動(先へ先へと消化したモノを送り出す収縮運動)をできなかったり、消化酵素が十分でなかったりして、食べものが小腸に降りて行けない状況。
このパターンの胃もたれなら、胃を十分に動かしたり、消化酵素を出す手助けが必要です。
ですからまずは、①または②のパターンのどちらか、または両方か。
こってりした食事で起こってしまった胃もたれが、どんなパターンなのか見極めて対応を考えましょう。
中医学のお薬でも現代医学の胃薬でも、中医学に基づいている薬膳でもそうですが、胃もたれのパターンによってどんなふうにケアするのか違ってくるからです。
せっかく選んだ胃薬や薬膳の処方が胃もたれのパターンに合っていないと、胃もたれの予防やケアに役立たないかもしれません。
では、いよいよ、消食類をとり入れ、調理法や調味料に気を付けて、消化を助けるハーブ薬膳茶を頂く、薬膳の知恵3選を考えてみましょう。
消食類(しょうしょくるい)をとり入れる。
ナチュラル薬膳生活では食事療法をするときには、薬膳食材になる食べものの分類から、目的に合わせて食材を選び出すために「ナチュラル薬膳生活における薬膳素材の分類体系」を参考にします。
この分類体系には消化を助ける「消食類(しょうしょくるい)」という分類があるのですが、代表的なものは大根です。
消食は中国語で、「食べたもの」が身体の中に滞らないように「消す」を意味します。
胃もたれの防止に消食とは、まさに的を得たネーミングだと思いませんか?
こうした食べものの働きは、中医学の先人の知恵に基づいている場合もあれば、現代栄養学の視点もミックスしている場合もあり、なるべくエビデンスがしっかりした情報で選びます。
現代栄養学が知られる前から、中国の薬膳の先人たちは経験則でこうした植物性の薬膳食材のそれぞれの働きを知っていました。
そして例えば大根なら消化を促して、詰まった食べものを下に降ろして腸管から余計な老廃物をデトックスするのに使ってきたのです。
今では大根に消化を促すジアスターゼという酵素が含まれていることはあまりにも有名ですね。
また、消食類でなくても「消食」の働きをもつ薬膳素材は多いので、こうした作用が期待できるキャベツや人参なども活用するといいですね。
例えば、キャベツは現代栄養学でビタミンUとも呼ばれ、消化を促進するキャベジンが含まれているので消化をしっかり助けます。
ですから、家庭料理にもう一品追加したり、外食をオーダーしたりする際には、こうした消化を助ける薬膳食材を使ったお料理を一緒に食べるように心がけるとよいでしょう。
ムリのない程度に調理法と調味料を好みの違う家族と分ける。
薬膳の考え方では先にご紹介したような薬膳食材を選ぶ時点から、目的に合わせて気を遣います。
そして、次の段階で注意するのが目的に合うように、今回の例なら胃もたれしないように、どのように調理するか、どのように味つけするかを決めるのです。
もし、一緒に食卓を囲むご家族と体質が違って胃もたれしない食事をとりたいなら、ムリのないない程度に調理法と調味料を分けるのも一考です。
薬膳は本来、一人ひとりに合わせてつくる中医学の考え方にもとづいた食事療法です。
しかし、だからと言って、家族の一人ひとりに違うお料理を作るのは手間やコストがかかるので、現実的ではありませんよね。
そんな場合は、同じ薬膳食材になるお肉やお魚やお野菜を、下ごしらえまで一緒に作っておいて、加熱の仕方や味付けだけ分ける方法があります。
お料理は一旦、加工したり、調味料を加えると、元に戻したり、引き算することはできません。
だから、最初にある程度決めておくのもいいですね。
例えば、とんかつが好きなご家族には脂身の多いロースかつでなく、豚ひれ肉のような赤身の部位を使ってお料理。
そして、自分が食べる分の豚肉は揚げずに、蒸したり、少量の上質なエクストラバージンオリーブオイルでキャベツと炒めたりして、別の一品にしてもよし。
調味料はご家族が全員おなじように蒸し豚を食べる場合は、甜面醤のようなマイルドな甘味噌や、食べるラー油のような唐辛子味のタレなどを何種類か用意する。
自分は別ぞえのタレ少なめに使ったり、または消化を助ける柑橘類の汁を絞ったりして食べる。
こってり味が好きな家族には、胃もたれを予防する薬膳の食べ方を始めることを分かってもらって、好みの調味料で別々に食べてもらう。
脂っこいお肉やお魚のお料理は、消化を助けるレタスやえごまの葉やサンチュで巻いて食べる。
こんなふうに凝ったことはせず、家族に理解してもらって消化に時間がかかる脂質の多いお料理を自分は避ける工夫をしてみてもよいのではないかと思います。
主食は自分のご飯だけ取り分けておいて胃にやさしいカンタンおいしい薬膳がゆに仕上げてもいいですね。
前日多めに炊いた残りご飯に自分の分だけお水を足して冷蔵庫に保存。翌日に火を通すと早くお米が崩れてすぐにお粥になります。
シンプルに胃壁を守る白がゆでもよし。吐き気などがあれば吐き気止めの働きを持つ薬膳食材の生姜の千切りなどを入れて、自分の胃の調子に合う薬膳がゆにしてもいいですね。
消化を助けるハーブ薬膳茶を食後に愉しむ。
食後にわたくしたち現代社会の日本人がよく飲む、温かい緑茶や紅茶やコーヒーも消化を助ける方法のひとつです。
しかし、濃い緑茶やコーヒーはたんぱく質を固める性質のあるタンニンを多く含んでいるので、胃壁に炎症があるパターンの胃もたれなら注意が必要です。
食後ならまだしも、ともかくすきっ腹にタンニンの濃い飲み物は胃壁を荒らすのでNG。
その代わりに活用しやすいのがハーブ薬膳茶を愉しむ方法です。
ハーブ薬膳茶というのは、薬膳の食事療法の目的に合うメディカルハーブ、何らかの薬理作用が期待できる薬草で淹れるお茶のこと。
嗜好品として飲む場合は、いわゆるハーブティーを淹れて飲むのと全く同じです。
軽い葉や花の部分のメディカルハーブは熱湯で数分むらしてすぐ飲めるのが便利ですね。
一方、根っこや木の皮や木の実のハーブや生薬は、長時間煎じる必要があるので、まいにち服用するには手間がかかります。
西洋で発展したメディカルハーブにはペパーミントなど、中医学のお薬では薄荷(はっか)と呼ばれている同じ植物が重複している場合があります。
洋の東西を問わず伝統医学の先人たちは身近な植物の薬効を活かして、健康を人々の管理してきたことがよく分かる例ですね。
薬草のハーブには様々なものがあり、働きも植物によっていろいろ異なります。
ペパーミントに熱湯を注いで有効成分を取り出したハーブ薬膳茶は、消化を助ける働きがあるので、お好みに合うようであれば胃もたれの改善におすすめです。
ペパーミントにもタンニンが含まれていますが、コーヒーほど多くはないので、飲んでみて不快な刺激を感じなければ、胃もたれの改善に使ってみてはいかがでしょう。
ℓ-メントールというすうっとする、誰もがおなじみの爽やかな芳香の精油成分が、熱湯を注ぐと植物の細胞壁が壊れて出て来ます。
清涼感のある良い香りは、胃がもたれて気持ちの悪い症状を軽くするのに役立つことでしょう。
このほかにも消化を助けるメディカルハーブには、強い苦みが特徴のアーティチョークがあります。
嗜好品のハーブティーと不調の改善に使うメディカルハーブの大きな違いがよく分かるのが、このアーティチョークです。
巨大なアザミの一種で西洋では開花する前の花のつぼみのガクの部分が食用にされていますが、日本では植物園以外ではあまり見るチャンスがない植物ですね。
アーティチョークの苦いハーブ薬膳茶は熱湯を注いで頂くのですが、そのお味はとてもおいしいハーブティーとは全く違う印象です。
でも面白いことに胃もたれして具合が悪いときは、おいしく感じることが多いようなのです。
きっと胃ぶくろのぜんどう運動が十分でないときは、苦みが刺激となって胃の働きを助けるので、カラダが求めるのでしょう。
ですから、アーティチョークは先にご紹介した胃もたれのふたつ目のパターン、胃のぜんどう運動が十分でなくて、消化酵素が足りない場合におすすめです。
苦みは胃や肝臓への刺激となって消化に関わる酵素の分泌も促すからです。
それなら、ひとつ目の胃壁が荒れているパターンの胃もたれが原因のようなら、どんなハーブ薬膳茶がいいの?
こんな疑問も湧いてくるかもしれません。
ハーブ薬膳茶に限らず、薬膳食材でも共通して言える方法は、多糖類とよばれるとろみのある粘液を含んだものを胃に入れて胃粘膜を保護するやり方です。
胃の粘膜を守るメディカルハーブで有名なのはマロ―ブルーと呼ばれるウスベニアオイ。
マロ―ブルーを熱湯で淹れると鮮やかな青紫色が出るので、目でも楽しめるハーブ薬膳茶になります。
他のメディカルハーブとブレンドすると、きれいな青色が出にくくなりますが、胃のぜんどう運動を助けながら胃壁を守りたいなら、アーティチョークとマロ―ブルーのブレンドハーブ薬膳茶で頂くとよいでしょう。
また本葛粉をといて葛湯を飲んでもよし。お料理を葛あんかけに仕上げて、胃壁への刺激がすくないやさしい味の薬膳を作って召し上がるのもよいかと思います。
今回ご紹介したメディカルハーブは、ハーブショップやネット通販でも手に入れやすくなりました。
ただし、メディカルハーブにはそれぞれ特有の薬理作用があります。
体質によってはキク科アレルギーなど、カラダに合わない場合もあります。アーティチョークはキク科です。その場合は直ちに使うのをやめてくださいね。
なお、こちらのブログ記事を読んでご自身で試されたメディカルハーブや薬膳茶で、万が一不調が起こった場合は、わたくしは一切責任を負いかねますのでご自身の判断で生活にとり入れてくださいね。
まとめ 大人女性の胃もたれを防ぐ食べ方を知って実践しよう。
大人女性の年代に入ってから、こってりしたモノを食べるのが好きな家族と一緒に食事をするとあとで胃もたれしてしまうというお悩みを解決する薬膳。先人の知恵3選をご紹介させて頂きました。
1つ目は、消化を助ける消食類という大根などの薬膳食材のご案内。
2つ目は、同じ食材を使ってムリなくこってり料理が好きな家族とは違う、自分のために胃にやさしい蒸すなどの調理法や、刺激の少ない調味料を分けて使うコツ。
3つ目は、ペパーミントなどを活用して消化を助けるハーブ薬膳茶を淹れるワケ。
まずは、胃の消化力が弱くなって胃もたれが起こっていることを考えて、胃もたれが何かをちゃんと把握して頂きましたね。
そのうえで、薬膳にメディカルハーブや現代の医学や栄養学の方法も交えてご紹介してみた次第です。
ナチュラル薬膳生活(薬膳ライフ)が人生を200%健やかに満喫したい大人女性のみなさんのお役に立てば幸いです。
機能補助系 消食類 大根 *体温への作用・味の性質・臓腑への働きかけ・作用* 涼 甘 辛 肺 胃 理気消食 降気寛中 清熱化痰 化瘀止血 ジアスターゼ プロテアーゼ カリウム ビタミンC |
参考文献
『ナチュラル薬膳生活入門編』 p.200
【前期】コーディネーター養成コース 公式テキスト
『ナチュラル薬膳生活応用編』 p.154
【後期】アドバイザー養成コース 公式テキスト
須崎桂子
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