こんにちは。
ナチュラル薬膳生活文化普及協会理事長、薬膳ライフコーチ須崎桂子けいてぃーです♪
これまで薬剤師、看護師、料理教室の先生、エステティシャン、薬膳の専門家になりたい大人女性のみなさんに、本格的な薬膳コースをオリジナルテキストで十数年教え続けてきた実績を持っています。
梅がほころび暖かな春に向かって、ウキウキする季節がやってきましたが、夫の実家に家庭薬膳で義母の支えになりたくて終活サポートに参りました。
義母は主治医と話し合って、すでに人生の残りを病院ではなく自宅で過ごしたいと覚悟を決めています。
今回は同じような状況にある皆さまに将来お役立て頂きたく、この経験談を分かち合うためにこのブログを書いています。
終活サポートの薬膳づくりで感じた家族と食べる喜び
終活サポートの家庭薬膳は、義母のような人が現代西洋医学の治療が効かなくなっても、食事を摂れる状態である限り、ムリのない範囲でおうちで楽しむ中医学の食事療法です。
残されたイノチに前向きに取り組んでいる義母のために、家庭薬膳を作ったり、自分でも簡単に作る方法を説明してきたのですが、自分も多くを学ばせて頂く経験になりました。
日本は本格的な高齢化社会に入り、内閣府の統計によると2015年には65歳以上の総人口比率が26.7%に達しているとのこと。これは4人に1人がシニア世代というとらえ方です。
もちろん、60歳代ではまだ若々しい方が多いです。従って、高齢者の定義を何歳からと考えるかによって、高齢化のパーセンテージは変わります。
いずれにしても、厚生労働省の統計で70歳くらいとされる平均的な健康寿命を少しでも伸ばして、実際の寿命とのギャップを減らし、人生を健やかに過ごしたいものですね。
そのためにもシニア世代に入る前に、自分自身が今からナチュラル薬膳生活を心がけていると言うワケです。
薬膳はそもそも中医学の理論を使って、変わりゆく状況に合わせて、処方を変えていく食事療法です。
ですから、臓腑の機能が次第に弱くなっていくことが予想されるケースでは、それに合わせて様子を見ながら、消化吸収にかける負担が少ない薬膳素材や調理法を選んでいくことになります。
今、見られる症状は、明日には変わってしまうかもしれません。病院のお食事では一律に大量の食事を作るので、食べる人ひとりひとりの状態に合わせて、こまめにレシピを調整するのはとても難しいです。
でも家庭薬膳には、ちょっとずつ調整してほんの少しでも美味しく食べられるよう様子を見ながらちょっとずつ調整できるメリットがあります。
あらかじめ義母には吐き気とむくみがあると聞いていたので、それらの不調を改善するために生姜と小豆を使って薬膳フードセラピーを試みました。
どんなに病気が重くなり終活の段階に入っても出来れば家族と共に自宅で過ごしたい。食べられる限りは少しでもよいから家族と同じものを口にしたい。食卓での家族団らんの思い出を大切にしたい。
そんな義母の気持ちが伝わってきたので、今回は薬膳の知恵を使って出来る限り、食事療法の工夫をして差し上げました。
吐き気に生姜、むくみに小豆、終活サポートの薬膳
義母の話では吐き気があって食欲がなく、病気がリンパ系に及んでいるらしくむくみがひどい状態でした。
リンパ系が担う水液の代謝がうまく行かなくなると、身体の中に水毒がたまりやすくなります。
湿気を嫌う消化器系統である脾(ひ)に影響が及んでいるようで吐き気があるため食欲がなく、足がパンパンにむくんでいました。
お医者様からは痛み止めのお薬が処方されており、その副作用で吐き気や食欲不振などの症状もでるだろうとも伺っていました。
このため、吐き気の改善に生姜、浮腫みの緩和に小豆を使ってみることにしました。
吐き気を改善するために生姜の鮭ごはん
食事の制限はありませんでしたので、吐き気を止める薬膳フードセラピーに使おうと、すぐに思いついたのは薬膳素材は「生姜」です。
生姜はショウキョウと呼ばれる中薬のひとつです。家庭の薬箱に常備されていることが多い葛根湯にも、ショウキョウは含まれています。
もちろん、スーパーマーケットで手軽に買えるので、薬膳作りに重宝する食材です。
生姜には、胃を温めて吐き気を止める「温胃止嘔」という作用があるのですが、民間療法でつわりの妊婦さんの吐き気の緩和にも使われてきました。
フレッシュな生姜には、ジンギベレンという芳香成分が含まれています。ナチュラル薬膳生活では、食材の持つ芳香成分を食べるアロマセラピーとして、不調の改善に用いる場合もあります。
食欲があまりないと言っていた義母に、生姜の働きを話して、千切りの香りをかいでもらったら、自主的に一切れ口にして少し気分が改善したようでした。
すると、あれあれ?
義母と話ししているうちに「まだご飯を食べていない・・・」と食欲がわいてきたようでした。
そこで炊飯器に義父が残しておいてくださった温かいご飯があったので、残り物の焼き鮭をほぐして生姜の千切りと混ぜご飯にして供してみました。
すると、お茶碗に半分くらい食べてくれたので、こちらもほっと胸をなでおろしました。
浮腫みの改善に甘くないメープル小豆のお汁粉
小豆は中薬学では赤小豆(せきしょうず)と呼ばれ、水毒を身体の外に追い出す利尿作用があります。今ではその働きが、小豆に豊富に含まれるカリウムやサポニンなどであることが、知られています。
先人は現代栄養学が確立するずっと前から経験に基づいて、水毒を取り除く食事療法に小豆を取り入れてきました。このように、先人の知恵が科学的に立証されていることは少なくありません。
しかし、日本では小豆を和菓子に加工することが多く、たっぷりと上白糖を入れてあんこに仕上げる場合が多いですね。このように精製度の高い甘味を小豆に加えてしまうと、甘味が身体に湿気を呼び込んでしまいます。
義母のためにはむくみの改善に小豆で薬膳を作ったので、シンプルに小豆を水煮して、甘くないお汁粉に仕上げました。
しかし、そのまま食べるともちろんあまり美味しくありません。
だからここが薬膳フードセラピストの腕の見せ所です。
家族一緒に薬膳フードセラピーを、美味しく楽しめるように、カリウムたっぷりでむくみの改善に役立つメープルシロップを甘味づけに選び、別に添えて食べられるように考えました。
こうすれば、食べる人によってメープルシロップの分量を調整できますから、オーダーメイドのように自分に合う甘さの薬膳スイーツ「メープル小豆のお汁粉」をさっと作ることができます。
この方法で家族のみんなに試食してもらいましたが、それぞれの体調に合う甘さにしたからでしょう。
義母も美味しい!と、完食してくれました。
義母に最近の食事の様子を聞きましたが、以前好きだった甘いものを最近食べたくなくなったということでした。
もしかすると身体が本能的に強い甘味がむくみを悪化させることを知っているからかもしれません。
実際に甘くない小豆のお汁粉100g程度に対して、小さじ半分程度のメープルシロップを加えただけで、義母には十分だったようです。
小豆自体の自然な甘さも楽しみながら、美味しそうに食べてくれたのが幸いでした。
試しに自分も、甘くない「小豆のお汁粉」には、お好みの量のメープルシロップを加えて、生姜の千切りも入れてみたのですが、意外なおいしさ。
このシンプルな茹で小豆の薬膳は様々な原因で生じるむくみの改善に応用が利きますし、好みで甘さを一人ひとりの状態に合わせて調節できるのがいいところ。
糖尿病や脂質異常症のケアなど、生活習慣病の予防・治療や、ダイエットに取り組んでいる方の食養生にもお勧めです。1人分で約100kcalと低カロリーなのも嬉しいですね。
おいしくて解毒効果が高い薬膳フードセラピーの一品です。
むくみを改善するデトックスの薬膳素材~小豆のメープルシロップお汁粉レシピ
小豆は赤小豆(せきしょうず)と呼ばれる生薬でもあります。
身体に溜まった水毒を取り除く利尿作用があるのですね。
スーパーで手に入る薬膳食材なので、浮腫みの改善に家庭ですぐに取り入れやすいメリットがあります。
中医学では梅雨のシーズンになるとむくみやすいと言われているので、小豆は梅雨の季節薬膳づくりにも重宝します。
材料:
小豆 200g
水 1000ml
メープルシロップ 適宜
生姜の千切り オプション
作り方:
補足ポイント:
①むくみを改善するために供する場合は、メープルシロップを入れすぎないように注意しましょう。甘味を摂りすぎると、身体に湿(しつ)をためるのでかえってむくみを悪くしてしまうからです。
①家族みんなで美味しく頂けるよう、メープルシロップや生姜の千切りを別添えにしました。年齢や体質などに合わせて、加える分量を調節してください。
♣参考文献・データ 『ナチュラル薬膳生活入門編』須崎桂子 ナチュラル薬膳生活文化普及協会 『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』文部科学省 『食材健康大辞典』監修 五明紀春 時事通信社
まとめ【薬膳レシピ開発】終活サポートに生姜と小豆で家庭薬膳
今回は薬膳ライフコーチが夫の実家へ行き義母の終活サポートに訪れた際、生姜と小豆を活用して吐き気や浮腫みの改善を試みた家庭薬膳について紹介しました。
薬膳は中医学の理論を使う食事療法なので、食材でもあり中薬としても使われる生姜を吐き気止め、小豆を浮腫み改善にそれぞれ活用。
義母は薬の影響による吐き気で食欲がない状態でした。しかし生姜の芳香成分を使ったら、生姜の鮭ご飯を少し食べることができました。
そして浮腫みの改善には、中薬としては利尿の働きを使う小豆を活用にして、家族みんなで食べられる甘くない小豆のお汁粉を開発。
甘味には浮腫みをひどくする作用があるので、利尿に役立つカリウムの多いメープルシロップをめいめいが体に合う量を好みで後で加えることにしました。
治療の影響でむくみがひどい義母にはメープルシロップの甘味を少なめに。
こうした方法で体にあまり負担をかけずに小豆のお汁粉を食べてもらえたので、義母には家族で食卓を囲む楽しさを微力ながら味わってもらうことができました。
ご自宅でご家族の終活を見守る皆さまにこの経験がお役に立てば幸いです。
須崎桂子
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