終活サポートの家庭薬膳
ナチュラル薬膳生活シニアインストラクターの須崎桂子です♪
3月の梅が散り始め桜の開花予報が聞かれるようになったこの時節、家庭薬膳でシニアの方の終活サポートに再び参りました。
終活サポートの家庭薬膳は、シニアの方が現代西洋医学の治療が効かなくなっても、お食事が摂れる状態である限り、ムリのない範囲でおうちで楽しむ食事療法です。
残されたイノチに前向きに取り組んでいらっしゃる方に召し上がって頂いた、最後の家庭薬膳をご紹介したいと思います。
薬膳フードセラピーはそもそも、変わりゆく状況に合わせて、処方を変えていく食事療法です。
ですから、臓腑の機能が次第に弱くなっていくことが予想されるケースでは、それに合わせて様子を見ながら、消化吸収にかける負担が少ない薬膳素材や調理法を選んでいくことになります。
今、見られる症状は、明日には変わってしまうかもしれません。病院のお食事では一律に大量の食事を作るので、食べる人ひとりひとりの状態に合わせて、こまめにレシピを調整するのはとても難しいです。
でも家庭薬膳には、ちょっとずつ調整してほんの少しでも美味しく食べられるよう様子を見ながら調整できるメリットがあります。
最期まで家族と薬膳フードセラピー
先日の終活サポートの家庭薬膳では、「小豆」のあっさりした薬膳スイーツでむくみの改善を試みました。
しかし今回は、もう身体をあまり動かすことができなくなってしまっても、消化器系統である脾(ひ)がともともと丈夫であったせいでしょうか。
家族と同じ普通の食事をを少量でも召し上がりたいという気力を感じました。
そこで、倒れる前の夕食に作られた椎茸と人参のお味噌汁の残りを、ご家族が見せてくださったので、手元にあったおうどんと合わせ、彩りにスナップえんどうをあしらいました。
すると、介助を受けながら少しずつ美味しそうに、ご家族と一緒に召しあがってくださいました。
ココロを癒す薬膳は介護するご家族にも
ナチュラル薬膳生活は、食事療法による不調の予防や治療だけでなく、楽しい食卓の雰囲気作りも、家族のココロとカラダを健やかにする大切な要素だと考えます。
なぜって?それは、ココロが安らぐと恒常性ネットワーク(ホメオスターシス)が自然と整ってくるので、ホメオスターシスの一翼を担っている免疫系のバランスも整うからです。
しかし、ご自宅で終活サポートを行うと決め、充実した地域の介護サポートを受けていても、介護を行うご家族や介護を受けるご本人も、四六時中気が張っていてココロを休めるのはとても難しいです。
こうした状況のもとでも、介護する家族は毎日のお食事を必ず摂る必要があります。そんなときに家庭薬膳を知っていると、凝ったお料理をしなくても先人の知恵で、ある程度ストレスを軽くすることができます。
そこで、ちょうどお台所に、いよかんがたくさんあったので、その柑橘類のシトラスの香りを介護ストレスで疲れ果てているご家族を癒す薬膳に使ってみようと思いました。
別に柑橘類でなくてもいいのですが、芳香性の薬膳素材にはココロに働きかけて「気(き)生体エネルギー)」の巡りを高め、間接的にココロの癒しにつながるからです。
豚肉の炒めものにシトラスの香りを添えて
そうしてさっと作ってみたのが「シトラス風味の青椒(ちんじゃお)ポーク」です。
柑橘類のシトラスの香りだけでなく、生姜の香り、ピーマンの香り、舞茸の香りも総動員しました。
視覚的な癒し効果も考えて橙色のいよかんと緑色のピーマンの補色を使い、安定感を生むカラーセラピーの要素も含んだ薬膳フードセラピーです。
これならお台所に特殊な中薬がなくても、どんなご家庭でも簡単に作れますよね♪
ご家族が「うまいっ!」と小さく声をあげて、ビールを片手にお料理に箸をのばしていらしたので、わずかなお食事タイムに少しほっとした次第です。
「シトラス風味の青椒(ちんじゃお)ポーク」の残りは、翌日の朝ごはんに、ご家族が介助して、終活をなさっているシニアの方にも差し上げてくださったそうです。なんとご家族が驚くほど、おいしそうに食べてくださったとのこと。
そして、その後のお昼ごはんから全くお食事が摂れなくなってしまったそうです。ですから、このお料理が最後の終活サポートの薬膳フードセラピーとなりました。。。
このように、「薬膳フードセラピー」は、生まれてからイノチが燃え尽きるその手前まで、健やかな身体を保ち、ココロ豊かな人生を謳歌するのに生涯役立つ、一生モノのスキルです。
少ししんみりした話題となりましたが、そのコトをお伝え致したく、若いイノチが萌えあがる春の桜シーズンを前に、薬膳フードセラピーの真髄について書かせて頂きました。
この薬膳レシピを組み立てる考え方は、介護ストレス以外のココロのケアにも応用できます。受験シーズンやお仕事でのストレスを軽減したいときなど、ご自身やご家族の心身のケアに、様々なアレンジで活用して頂ければ幸いです。
【家庭薬膳レシピ集】でご紹介していますので、どうぞ参考にしてみてください。
♡豚肉にはセロトニンという神経伝達物質の材料となる、必須アミノ酸のひとつトリプトファンが含まれます。セロトニンには精神を安定させる働きがあるので、豚肉もココロを癒す薬膳素材のひとつととらえて、活用するのもよいでしょう。 ♡レシピ例ではシトラスの香りの薬膳素材として、「いよかん」を使っていますが、その他のかんきつ類で仕上げても結構です。 ♣参考文献・データ
『ナチュラル薬膳生活入門編』須崎桂子 ナチュラル薬膳生活文化普及協会
『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』文部科学省
『食材健康大辞典
家庭薬膳はキレイと健康を守る日々の営み(^^)/
『ナチュラル薬膳生活入門編』
薬膳素材の分類 理気類
みかん(かんきつ類) p.165 参照
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